Hy24、クリーン水素インフラファンドに約2,840億円を調達

Hy24、クリーン水素インフラファンドに約2,840億円を調達

10月10日、水素に特化した投資スタートアップのHy24は、水素インパクトファンド「Clean H2 Infra Fund」の資金調達を完了し、20億ユーロ(約2,840億円)の投資を集め、クリーン水素バリューチェーンに限定して投資する世界最大のインフラファンドとなったことを発表した。

水素は、クリーンなエネルギーへの移行において重要な構成要素の一つと考えられており、特に風力や太陽光などの再生可能エネルギーによるソリューションが実用的でない、排出量の削減が困難なセクターにおいて重要な役割を担う。

年間約9,000万トンの水素が製造されているが、その大部分は化石燃料を使って抽出されており、汚染物質やGHGの排出を引き起こしている。再生可能エネルギーを利用した電気分解プロセスで水から水素を抽出するグリーン水素のようなクリーンな抽出プロセスを開発するには、多大な投資が必要である。

当ファンドは、再生可能で低炭素な水素製造などの上流プロジェクトから、キャプティブフリートや燃料補給ステーションなどの下流プロジェクトまで、クリーン水素バリューチェーン全体を通して、成熟したインフラ資産に実証済みの水素技術をスケールアップすることに重点を置いている。

2021年に発足したHy24は、民間投資会社であるArdianと、水素を可能にする投資プラットフォームであるFiveT Hydrogenの共同事業である。Hy24によると、今後6年間で200億ユーロ(約2兆9,218億円)もの投資能力を動員することを目標としている。

Hy24によると、新しいファンドへのコミットメントの半分は、CMA CGM、Air Liquide、TotalEnergiesなどの産業投資家が行い、Nuveen、Societe Generale、AXA、Allianz、BBVAなどの金融投資家が行ったとのことである。

現在までに、欧州最大の水素ステーション網を有するH2 MOBILITY Deutschlandの1億1000万ユーロ(約156億円)の資金調達や、脱炭素水素製造施設を運営するHy2Genの2億ユーロ(約2,922億円)の資金調達ラウンドなどに投資している。

【参照ページ】
(原文)Press release : Hy24 closes world’s largest clean hydrogen infrastructure fund at €2 billion
(日本語訳)Hy24、クリーン水素インフラファンドに約2,840億円を調達

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成しています。今後の動向により内容は随時更新され…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-20

    SEC議長、ESG株主提案の政治化に警鐘―「企業統治の本質に立ち返るべき時」

    10月9日、米証券取引委員会(SEC)のポール・S・アトキンス議長は、デラウェア大学のジョン・L・…
  2. 【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    2025-10-15

    【特別対談】人的資本が企業価値を作るーANAが実践するサステナビリティ経営戦略に学ぶ(前編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…
  3. 【特別対談】サステナビリティ情報開示の進展が企業価値向上を実現。AI/テクノロジー活用への期待(後編)

    2025-10-15

    【特別対談】サステナビリティ情報開示の進展が企業価値向上を実現。AI/テクノロジー活用への期待(後編)

    本記事は、ESG Journalを運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社(以下シェルパ)のC…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る