CarbonCapture、米国で初めてメガトン規模のDACプロジェクトを建設

 

9月8日、カリフォルニア州に拠点を置く気候変動対策技術企業CarbonCaptureは、炭素貯蔵開発企業フロンティアカーボンソリューションズと共同で、年間500万トンのCO2を大気から永久に除去・貯蔵することを目指す新しい直接大気分離回収(DAC)プロジェクト「Project Bison」の立ち上げを発表した。

先月バイデン大統領が署名したインフレ抑制法は、米国にとって過去最大の気候変動に焦点を当てた一連の投資を含み、再生可能エネルギーや産業の脱炭素化ソリューションなどの分野に約3700億ドル(約52兆円)を割り当てている。新法が成立して以来、複数の企業が米国における気候変動対策のための大規模な投資計画を発表している。太陽光発電技術企業のFirst Solarは、PV太陽電池の製造能力を大幅に拡大するために最大12億ドル(約1,707億円)を投資する意向を示し、国際エネルギー企業のOccidentalはテキサス州パーミアン・ベースンに最大100万トン規模のDAC工場を建設すると発表している。

DAC技術は、IEAがネット・ゼロ・エネルギー・システムへの移行における重要な炭素除去オプションとして挙げているもので、大気中から直接CO2を取り出して原料として使用したり、貯蔵と組み合わせて永久に除去したりするものである。今年初めに発表されたIPCCの画期的な気候変動緩和研究によると、温暖化を1.5℃に抑えるシナリオでは、二酸化炭素の除去方法は今後数十年にわたって年間数十億トンにまで拡大し、DACはその大部分を占める可能性があるとされている。

CarbonCaptureは、再生可能エネルギーやゼロカーボンエネルギーが豊富にあること、また炭素貯留に関する規制や運用環境が整っていることから、ワイオミング州を新しいDACプロジェクトの立地先として選んだ。

本プロジェクトは、2023年後半までに稼働し、2030年まで複数の段階を経て、年間500万トンの容量に達するよう開発される予定である。

本提携により、CarbonCaptureのDACモジュールは、ワイオミング州にあるフロンティア社のCO2輸送・貯留インフラの上に設置される予定である。本プロジェクトは、クラスVI井戸を使用した初の大気中炭素除去施設となる。

【参照ページ】
(参考記事)CarbonCapture Inc. Announces Five Megaton Direct Air Capture and Storage Project in Wyoming

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