6月27日、欧州の市場規制機関である欧州証券市場庁(ESMA)は、ESG格付けの市場規制に向けたEUのプロセスの次のステップとなる、ESG格付けプロバイダーに関する評価を発表した。
ESMAの調査によると、市場は主に少数の大規模プロバイダーに集中しており、ユーザーの4分の3以上がESG格付けのために複数のプロバイダーを利用していた。
今回の発表は、規制当局が今年初めに開始した「証拠提出の呼びかけ」を受けたもの。ESG格付けのユーザーや格付けの対象となる企業からのフィードバックとともに、「EUで活動する様々なESG格付けプロバイダーの規模・構造・人材・収益・商品提供に関する概要」を規制当局に提供する。
投資家がESGを考慮した投資を行うようになり、ESGデータ、サービス、格付けへの需要が急増している一方、プロバイダーの活動やビジネスは一般的に市場や証券規制当局の対象外となっている。
当分野を規制の監視下に置こうという声は、ここ数カ月で勢いを増している。昨年初め、ESMAは欧州委員会の金融サービス調整官Mairead McGuinnessに書簡を送り、ESG格付けセクターの現在の無規制状態とそれによる透明性の欠如が投資家に潜在的なリスクをもたらすと助言した。欧州委員会は2021年7月、新たな「持続可能な金融戦略」を打ち出し、その中でESG格付けの信頼性、比較可能性、透明性を向上させるための措置を約束。その後、ESMAに対して市場参加者の調査を開始するよう要請した。
本調査によると、ESG格付け市場は、少数の非EU大規模事業者と、EUに拠点を置くいくつかの小規模事業者とに分かれている。ESG格付けの利用者が最も多く挙げたプロバイダーは、多い順に、MSCI、モーニングスター/サステナリティクス、ISS、S&P、Moody’s/VEだった。
ESG格付けの利用者の77%が、アセットクラスや地域ごとのカバレッジを高めるために、複数のプロバイダーを利用していると回答した。ESG格付けプロバイダーの欠点として最も多く挙げられたのは、特定の産業や事業体の種類をカバーしていない、データの粒度が不十分、複雑、手法の透明性がないなど。
ESMAは、ESG格付けプロバイダーがカバーしている企業や事業体からも情報を収集しており、その結果、ほとんどの企業がこれらの相互作用に一定レベルのリソースを割いていると判明した。格付けプロバイダーの対象事業者が指摘したいくつかの欠点には、格付けの根拠について提供される透明性のレベル、フィードバックのタイミングやエラー訂正が含まれる。
【参照ページ】
(原文)ESMA PUBLISHES RESULTS OF ITS CALL FOR EVIDENCE ON ESG RATINGS
(日本語訳)EU市場規制当局、ESG格付の市場評価を発表。セクター規制のプロセスの一環に