Net-Zero Asset Owner AllianceとOECM、セクター別脱炭素化に向けたロードマップを提供

5月、国連が招集したNet-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)と欧州気候財団の委託を受けたOne Earth Climate Model(OECM)は、セクター別脱炭素化のために非常に必要なロードマップを提供した。スコープ3排出量を明確に定義し、二重計上を避けることで、12の産業部門について詳細かつ標準的なネット・ゼロへの道のりを提供している。

産業界の能力、投資経路、脱炭素化目標はすべて、ネット・ゼロ・エミッションへの公正な移行を確保するために問われる分野である。綿密な調査作業の結果、最も多くの温室効果ガスを排出する各業界の詳細なデータが得られ、これらの排出の部門横断的な責任が特定された。

国際エネルギー機関(IEA)の「NZE2050」シナリオは、1.5℃の統計的な信頼区間が50%のラインで設計されているのに対し、OECMは信頼区間を67%にまで高めて設計された。現在最も厳しいシナリオだ。

OECMでは、現行の原子力発電・CCS(炭素回収・貯留)・BECCSは開発コストが高すぎるためソリューションの中から排除された。その上で、2030年までに再生可能エネルギーを急速に拡大し、EV開発にも積極的に投資するという目標を設定した。一方で、石油・石炭・ガスの新たなプロジェクトへの投資を行わないよう政府、金融機関、産業界に求めた。

【参照ページ】
(原文)ONE EARTH CLIMATE MODEL: SECTORAL PATHWAYS TO NET-ZERO EMISSIONS
(日本語訳)地球気候モデル: ネットゼロエミッションへのセクター別パスウェイ

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…
  2. TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2025-6-11

    TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2024年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-…
  3. 進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    2025-6-6

    進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    サステナビリティ情報開示の高度化が急速に進んでいる。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)…

ピックアップ記事

  1. 2025-8-18

    金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

    8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる…
  2. SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    2025-8-14

    SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    日本企業にとって、2026年から「気候変動対応・開示」は、企業価値を左右する重要な経営課題になるで…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る