WBCSD、循環型移行指標(CTI)フレームワークのバージョン3.0を発表

5月11日、持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)は、循環型移行指標(CTI)フレームワークのバージョン3.0を発表した。サステナビリティが主流となる中、企業に対して、循環型パフォーマンスを実証するよう求める圧力が高まっている。CTIフレームワークは、あらゆるセクターにおいて循環性を測定するためのシンプルで一貫した方法を提供し、廃棄物と一次資源の使用を削減する方法についての洞察を与えることによって、企業がこの高まる需要に対応するのを支援する。

循環型経済は、2030年までに4.5兆米ドル(約580億円)の経済的利益をもたらす可能性がある。より多くの企業がこの機会を捉え、循環型経済が、気候変動、自然の喪失、不平等の拡大といったサステナビリティの課題に取り組みながら、レジリエンスを構築し、財務的に成功するためのマインドセットの転換を提供することを認識している。

2021年に発売された前バージョンをベースに、CTI v3.0は、リサイクル調達が温室効果ガス(GHG)排出削減に与える影響を測定するための新たな方法論で強化している。また、ライフタイム延長戦略を検討するための2つの新たな指標と、企業の意思決定と行動の優先順位付けを支援するガイダンスで構成している。

CTIフレームワークは、サーキュラーIQ社と共同で開発したオンラインツールによって補完されており、企業は複数の評価を実施し、時系列でパフォーマンスを追跡し、確かな循環性の基準値を構築可能。本フレームワークとツールは、企業やサステナビリティコンサルタントに広く採用されており、世界中で2000人以上のユーザーが利用している。

CTIは、2020年1月に初めて発足し、16カ国の16業種、年間売上高1兆7000億米ドル(約220兆円)の30社が参加している。本フレームワークは、WBCSD Products & Materials Pathwayの一部であるメンバー企業との協力のもと、継続的に拡張・更新されている。WBCSDは、世界中のあらゆる規模と産業の企業が、CTIを利用して循環型ベースラインの測定を開始し、循環型経済への移行を加速させることを推奨する。

【参照ページ】
(原文)The linear economy is reaching the end of the line: business must adopt circularity to stay competitive
(日本語訳)直線的な経済が終焉を迎えつつある:競争力を維持するために、ビジネスは循環型システムを採用する必要がある

関連記事

おすすめ記事

  1. 【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    2025-9-11

    【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    気候変動や自然資本など、環境領域に関する開示が進みつつある中、次なるテーマは「社会」の領域。TIS…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-29

    イベントレポート サステナビリティ経営フォーラム2025

    『本質に迫る対話とデータ活用 ~信頼を築く情報開示と戦略の再構築~』 ESG Journal…
  2. 【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド

    2025-10-27

    【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド

    2026年1月からEUでは炭素国境調整メカニズム(Carbon Border Adjustment…
  3. 2025-10-27

    GRIとCDP、環境報告の共通化へ―新マッピングでデータ活用を促進

    10月21日、国際的なサステナビリティ報告基準を策定するGlobal Reporting Init…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る