テスコとWWF、重要な食糧システムの革新を迅速に進めるためのアクセラレーター・プログラムを発表
5月9日、英小売大手テスコと世界自然保護基金(WWF)は、サステナビリティ・イノベーションを促進し、英国における食糧安全保障を確保するために、スタートアップ企業とサプライヤーを結び付けるアクセラレータープログラム「イノベーション・コネクションズ」を開始した。
本プログラムは、新たなアイデアや技術のスケールアップを支援できるサプライヤーを特定することで、有望なサステナビリティ・イノベーションが食品サプライチェーンに大規模に採用されることを保証するものだ。
今回イノベーション・クリエーションの最終選考に残ったのは、以下8社。
1.AgriSound & AM Fresh – 生体音響学を利用して、農場で受粉媒介者や害虫のレベルを監視し、農家の生物多様性保護と農産物の収量増加を支援する技術。
2.Aurea & Adrian Scripps – 果樹のライフサイクル全体をカバーするインテリジェンスにより、農家は樹木の健康状態と実の付き具合を個別に管理し、肥料などの投入を最小限に抑えながら収量を向上させることができる。
3.ai & Hilton ‐ 鳥のさえずりを科学的根拠に基づく生物多様性指標として利用する草地農業のモニタリングシステム。
4.CCm, Andermatt , FCT & Branston – 低炭素肥料によるジャガイモ生産の二酸化炭素排出量削減の実証実験。
5.FCT & ProduceWorld – 園芸生産者向けの先進的なカーボンフットプリントソフトウェアで、排出量を分析・削減し、農地での炭素固定を増加させ、同時にコスト削減と効率性を確認する。
6.Future by Insects & Hilton – 生ごみから微細藻類を育て、魚の餌とする循環型魚餌の作成。
7.Harbro & Muller – 酪農場の栄養効率を精密に測定する技術。
8.InsPro & Prepworld – 昆虫を使用して生ごみを鶏の飼料に変換し、卵のサプライチェーンにおける大豆飼料の使用を削減するポータブルバイオコンバージョンユニット。
応募者は、テスコの長期的なサプライヤーと組み、食品サプライチェーンの実世界でアイデアを適用するスケールアッププロジェクトを売り込む。受賞者は、テスコのサプライヤー・パートナーと協力して、イノベーションを試験的に拡大し、それぞれ最高15万ポンド(約2,300万円)の資金援助を受けることになる。
テスコはまた、英国政府に対して、英国の食品サプライチェーンにおけるイノベーションを開放し、イノベーションをシード資金調達段階だけでなく、市場投入可能な状態にまで支援するために、より多くの活動を行うよう求めている。
同社は政府に対し、飼料用昆虫タンパク質や持続可能な低炭素肥料のような後期段階のイノベーションのスケールアップを妨げる時代遅れの規制を更新するためのタイムラインとプロセスを設定するよう要請する。また、新たなフードシステムのイノベーションを早期に採用する企業や消費者に対するインセンティブを設けるよう求めている。
【参照ページ】
(原文)Tesco opens up supply chain to sustainability start-ups
(日本語訳)テスコ、サプライチェーンをサステナビリティ新興企業に開放