7月20日、国連食糧農業機関(FAO)は「気候変動に関する戦略2022-2031」の実施に向けたアクションプランを開始した。
2022年6月にFAOの執行機関である理事会で承認された本戦略は、「健康的な食生活のために十分で安全かつ栄養価の高い食品を、その他の農産物やサービスと同様に、現在および将来の世代に提供し、誰一人取り残さない」適応力とレジリエンスのある低排出経済に貢献することで、これらの解決策の認知度、取り込み、投資を拡大することを目指している。
世界の農業食糧システムは、食料および非食料農産物の生産、ならびにそれらの貯蔵、輸送、加工、流通、販売、廃棄、消費を包括しており、現在、温室効果ガス(GHG)総排出量の約3分の1を占めている。
本戦略のタイムリーな実施に向け、同機関はFAOメンバーとの協議に基づき行動計画を策定し、メンバーのニーズと優先事項を可能な限り反映させた。
本アクションプランは「世界・地域レベルでのアドボカシー活動」「国レベルでの政策支援」「現地アクターや脆弱な人々との連携による気候変動対策のスケールアップ」からなる3つの柱に基づいている。
第一の柱に関しては、FAOはすでに世界的な場でのアドボカシー活動を強化している。例えば、FAOはCOP27議長国の戦略的パートナーとして認められ、2022年11月にシャルム・エル・シェイクで開催された気候変動会議で初めて食料・農業パビリオンを主催した。
第二の柱に関しては、気候変動公約、特に国家適応計画(NAPs)や国家決定拠出(NDCs)の策定と実施への支援を強化することを目的としている。FAOはこの分野で、国別適応計画と国別拠出を通じて土地利用と農業に関する気候変動への取り組みを拡大する(SCALA)プログラムを実施しており、現在アフリカ、アジア、ラテンアメリカの12カ国で活動している。
第3の柱は、気候変動、生物多様性の損失、土地の劣化に対処するだけでなく、より大きな食料安全保障、より良い生活を確保するための優良慣行の特定、共同開発、導入に向けて、特に女性や先住民族などの脆弱なグループに焦点を当て、地元の利害関係者によるより強力な関与をもたらすことを目指す。
本計画は、戦略で承認されたすべての成果と柱に一連の具体的な成果を関連付けるもので、2022年から2025年までの期間を対象としている。
【参照ページ】
(原文)FAO launches Action Plan for ambitious climate strategy
(日本語訳)FAO、2025年までの気候戦略アクションプランを発表