3月30日、カナダ政府は、気候変動に関する暫定目標を達成するための戦略を示した「2030 Emissions Reduction Plan」を発表した。本計画は、炭素価格やクリーンエネルギーの拡大、炭素分離回収の開発、ゼロエミッション車の奨励など、幅広い取り組みを網羅し、高排出量セクターの目標を提示し、90億ドル以上の新規投資を導入する予定である。
本計画によると、2019年のカナダ経済全体の温室効果ガス排出量は、二酸化炭素換算で7億3,000万トンに達した。石油・ガス部門が排出量の4分の1以上(26%)を占め、次いで運輸部門が25%、建物が12%、重工業と農業がそれぞれ11%、10%となっている。石油・ガス部門は、2030年の排出量削減計画でも最大の割合を占めており、同戦略では、カナダの2030年排出量削減計画のほぼ30%に相当する8100万トンのCO2eを削減する目標を掲げている。また、この計画には電力セクターのフットプリントの大幅な変革も含まれており、2019年比で75%以上の排出量削減を目標としている。
EVへの移行を緩和・加速することも戦略の主要な部分を占めており、2026年までに軽自動車の新車販売の20%以上をゼロエミッション車とし、2030年までに60%、2035年までに100%とする販売義務付けを導入する計画も含まれている。また、ゼロエミッション車の充電ステーションに4億ドル(約489億円)、EVを購入しやすい価格にするためのインセンティブに17億ドル(約2,082億円)、充電・給油インフラに5億ドル(約612億円)の追加投資を計画している。
このほか、温室効果ガス排出削減プロジェクトを支援するカナダの Low Carbon Economy Fundへの22億ドル(約2,694億円)、再生可能電力と送電網の近代化プロジェクトに対する6億ドル(約734億円)、Canada Green Buildings Strategyへの1億5000万ドル(約183億円)、グリーン住宅ローンへの4億5000万ドル(約551億円)を含む主要投資分野も含まれている。
また、この計画には、カナダのNature Smart Climate Solutions Fundを大幅に拡大し、7億8,000万ドル(約955億円)を追加で拠出することが含まれている。本基金は、気候変動に対処するための自然を基盤とした解決策に焦点を当て、劣化した生態系の回復、転換リスクの高い炭素豊富な地域の保全、特に農業、森林、都市開発分野における土地管理方法の改善などに焦点を当てたプロジェクトを支援するものだ。カナダは昨年この基金を立ち上げ、当初は5年間で最大2億ドル(約244億円)を提供すると約束した。
【参照ページ】
(原文)2030 Emissions Reduction Plan – Canada’s Next Steps for Clean Air and a Strong Economy
(日本語訳)カナダ、2030年気候変動対策計画を発表、数十億ドルの排出削減投資を表明