世界最大級の投資運用会社であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)は、2022年のアセット・スチュワードシップ・プログラムの重点分野を発表した。SSGAの社長兼CEOであるサイラス・タラポレバラは、投資先企業のCEOに宛てた書簡の中で、これらの問題に関して投資マネージャーが取締役会に期待することと、来年度に期待するエンゲージメント・アプローチについて詳しく説明している。
SSGAによると、昨年の出来事、特にCOP26会議やパンデミックの継続により、サプライチェーンの混乱、気候変動のシステミックリスク、ジェンダー・人種・民族間の不公平など、企業のレジリエンスに関する問題がクローズアップされている。一方、企業の取締役会は、世界が低炭素社会、より多様で包括的な未来へと移行し、資本市場がより持続可能な世界経済へと移行していく中で、歴史的な変化を乗り越えることがますます求められている。
SSGAが今年設定した重要な期待事項の一つは、気候関連のリスクと機会、スコープ1および2の温室効果ガス(GHG)排出量、排出量削減目標に関する取締役会の監督状況の報告など、気候関連財務開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った企業の情報開示を求めることだ。
SSGAは、これらの情報開示の期待に応えられない企業に対して議決権行使を行うことを表明し、またポートフォリオの中で最も排出量の多い企業を対象としたエンゲージメントキャンペーンの計画を発表するなど、脱炭素化戦略、資本配分、気候ガバナンス、気候政策などの主要分野に関する情報開示を促した。
多様性の面では、SSGAは取締役会に少なくとも1名の女性を加えることを企業に求める方針をポートフォリオのすべての株式に拡大することを発表した。米国、カナダ、英国、欧州、オーストラリアの主要インデックスに属する企業については、2023年のプロキシシーズンから、取締役会が少なくとも30%の女性取締役で構成されることを期待している。
さらに、SSGAはS&P500社およびFTSE100社のうち、有色人種が取締役に就任していない企業、取締役会の人種および民族の多様性を開示していない企業、人種、民族、性別、職種ごとのデータを含む人口動態的な労働力データを含むEEO-1レポートを開示していないS&P500社の取締役に対して、議決権行使を行うとしている。