
3月10日、環境省は地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、温室効果ガス排出量の算定方法が大幅に見直されることを発表した。これに伴い、事業者が事業所管大臣に報告する「温室効果ガス算定排出量」および「調整後温室効果ガス排出量」についても変更が加えられる。これらの変更は、令和7年4月1日から施行され、令和6年度の実績報告から適用される。
主な変更点
- 直接排出と間接排出の区別
改正後は、特定排出者単位で直接排出と間接排出を区別して報告することが求められる。これにより、燃料の使用(直接排出)と電気・熱の使用に伴う排出量(間接排出)が明確に区分される。 - 基礎排出量の算定方法の変更
他人から供給された電気・熱の使用に伴うCO2排出量の算定方法が変更され、非化石証書やグリーン電力・熱証書、再エネ電力・熱由来のJ-クレジットを反映した基礎排出係数が導入される。 - カーボンリサイクル燃料
回収したCO2をカーボンリサイクル燃料の製造に用いた場合、排出削減価値を原排出者と利用者間で移転できるようになり、基礎排出量から控除可能となる。 - 海外認証排出削減量の見直し
パリ協定に基づく目標達成に向けた国内外の地球温暖化対策を加速するため、温対法が改正され、JCMクレジットが「国際協力排出削減量」として定義されるようになった。
これらの変更により、企業はより詳細で正確な温室効果ガス排出量の報告が求められることになる。特に、直接排出と間接排出の区別や、基礎排出量の算定方法の変更は、企業の報告プロセスに大きな影響を与えると考えられる。
関連法令の改正とマニュアルの公表
これらの改正に伴い、以下の関連法令が改正されている:
- 地球温暖化対策の推進に関する法律施行令の一部改正
- 特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令の一部改正
- 温室効果ガス算定排出量等の報告等に関する命令の一部改正
これらの改正を踏まえ、「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(ver6.0)」が公表された。このマニュアルは、令和7年度の報告から適用され、詳細な算定方法や報告方法を解説している。