三井住友FGがネットゼロ・バンキング・アライアンスから脱退へ―国内大手金融で初の事例

3月4日、三井住友フィナンシャルグループ(FG)が、銀行による温室効果ガス排出量削減を促す「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」からの脱退を決定したことが、明らかになった。米国ではトランプ政権下での気候変動政策の後退を背景に、北米金融機関のNZBA脱退が相次いでおり、その流れが日本にも波及した形だ。国内大手金融機関が同アライアンスからの離脱を表明するのは初めての事例となる。

三井住友FGの広報担当者は、ブルームバーグの取材に対して電子メールで事実を認め、グローバルな動向を総合的に踏まえたうえで判断したと説明した。同社は2050年までに投融資ポートフォリオ全体をネット・ゼロとする独自目標を掲げており、社内体制の強化も進んでいるため、NZBAに加盟し続けなくとも自社独自の対応ができると判断したとしている。

NZBAは、2050年までに投融資における温室効果ガス排出量のネット・ゼロを目指す民間金融機関の連合で、100以上の金融機関が参加している。昨年末から今年初めにかけて、ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースなど米国の主要金融機関が相次いで脱退を表明していた。三井住友FGに続き、野村ホールディングス(HD)も脱退を検討していると報じられており、国内金融セクターの動向に影響を与える可能性がある。

日本の金融機関では、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、野村HDなど計6社がNZBAに加盟している。三井住友FGが脱退を表明したことで、国内における気候変動対策と金融サービスの在り方に関する議論は一段と広がるとみられる。

【参照ページ】
(原文)三井住友FGが気候変動対策グループ脱退へ、国内大手金融では初

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  2. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…
  3. 2025-9-12

    カリフォルニア州、気候関連財務リスク報告の指針を公表

    9月2日、カリフォルニア大気資源局(CARB)は「気候関連財務リスク開示ドラフト・チェックリスト」…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る