東京海上、国内初のカーボンクレジット専用保険を開発

7月19日、東京海上日動火災保険株式会社は、カーボンクレジットの購入企業向けに、危機管理コンサルティング費用や企業価値毀損に発展しうるリスクの調査費用を補償する「カーボンクレジット・レピュテーション費用保険」を開発したことを発表した。

近年、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けた政策や社会制度の導入・検討が進んでいる。日本政府も2026年度から一定規模以上の企業を対象にGHG排出量取引制度「GX-ETS」への参加を義務づける方針を示している。この流れを受け、企業のGHG排出量削減の取り組みが一層拡大することが見込まれる。

カーボンクレジットは、脱炭素活動により得られたGHGの排出削減・吸収量を環境価値として取引可能な形にしたものとして注目されている。民間主導のカーボンクレジット市場は、2030年度に世界全体で500億ドル(約7.8兆円)に達するとの予想もある。

一方で、カーボンクレジットによるGHG排出量のオフセットについては、その開示情報が外部から厳しく監視・評価されるようになり、グリーンウォッシング批判に晒されるリスクも高まっている。企業がグリーンウォッシング批判を受けると、その真偽を問わず企業価値毀損につながる可能性があるため、迅速かつ的確に対策を講じる必要がある。

今回、東京海上日動火災保険が開発した「カーボンクレジット・レピュテーション費用保険」は、企業が購入したカーボンクレジットの対象プロジェクトに対するグリーンウォッシング批判が発生した場合に、企業価値の毀損を防ぐための対策費用を補償する。補償対象となる費用には、危機管理コンサルティング費用、弁護士相談費用、報道状況分析費用、ネット投稿削除費用、緊急会見・社告費用などが含まれる。また、デロイト トーマツ グループのコンサルティング会社等を起用し、必要な対策についてのコンサルティングを提供する。

東京海上日動火災保険は、カーボンクレジットによるオフセット取引市場の成長を支える保険商品・サービスの開発を通じて、カーボンニュートラルの実現・脱炭素社会への移行に一層貢献していくとしている。

【参照ページ】
【国内初】カーボンクレジットの購入企業向け専用保険の開発

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