5月31日、「物価高対策に資する食品ロス削減実証業務報告書」を公表した。同報告書は、2023年10月に楽天西友ネットスーパー(オンライン)及び西友(実店舗)で行われた実証実験の結果をまとめたもの。報告書の主な内容は下記のとおり。
食品の販売においては、製造日から賞味期限までの期間を3等分する「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習が存在し、食品ロスの主な要因とされている。この商慣習により、賞味期限当日までの期間が近づいた商品は、まだ賞味期限当日まで期間が残っているにもかかわらず廃棄されており、これらの廃棄処理コストは商品価格に転嫁されている。今回の実証実験は小売店において賞味期限切れが近い商品の値下げ販売や売り場での「てまえどり」の促進・賞味期限の理解促進といった周知啓発を通じて、商品の売り切りを実現するための実証を行い、当該実証結果を通じて全国の小売店への横展開を図ることを目的として行われた。
楽天グループは、楽天西友ネットスーパーにて、賞味・消費期限の正しい理解促進と賞味・消費期限に準じた値下げ販売・ポイント還元販売の実証を実施し、食品ロスの削減および物価高への対策効果を測定する実証実験を行い、購買・廃棄データの分析・ユーザーへのアンケートを通じて検証を行った。その結果、以下の効果がみられたと発表した。
- 対象とした126品目の廃棄点数の減少
- 値下げ販売による商品の売り切りによる、54%の食品ロスの削減
- 期限間近の商品の値下げ販売・ポイント還元販売によって得られた合計で73万円の消費者の支出抑制効果
- ネットスーパーが売り切りによって得られた274万円の金銭的メリット(値下げ・ポイント還元分の消費者の支出抑制効果の73万円と比較して、費用対効果は375%)
- ネットスーパーで賞味期限間近の食べ物や飲み物が値下げ・ポイント還元されている場合の購買意向のアンケートにて、意識変容の主な介入ターゲットである「買い物時に賞味・消費期限を意識している」層について、見切り品の購買を促すランディングページ(LP)を確認することで購買意向が高くなる結果
また、株式会社西友は西友実店舗にて賞味・消費期限間近の商品が陳列されている棚やワゴン付近に啓発バナーを設置し、正しい賞味・消費期限の理解に関する啓発と賞味・消費期限間近の商品の販売の促進を行った。また対象店舗の近隣に居住する楽天西友ネットスーパーユーザーを対象としたインターネットアンケートを実施し、支出抑制効果等を分析したところ、以下のような分析結果が得られたと発表した。
- 対象店舗の利用者のうち、キャンペーン期間中に賞味期限間近の値下げ商品を購入した割合は23.1%
- 20代以下が見切り品を多く購入している傾向がある
- 見切り品の購入による支出の抑制額のアンケート回答を用いた推計結果は総額約36,675円で、回答者1人あたり約237円
- 対象6店舗の1日の平均利用客数約5,800人を用いた支出抑制額の拡大推計に基づく、実証期間中の約137万円分の支出の抑制効果
【参照ページ】
(原文)物価高対策に資する食品ロス削減実証業務