6月28日、経済産業省は、NETsの技術開発動向及びビジネス動向や、削減よりもコストが高いNETsの産業化に当たって重視すべき要素等を整理し、各技術の今後の方向性やルール形成等、市場創出に向けた方針について整理を行った。
日本政府は、2050年のCNの達成に向け、産業や運輸の部門を中心として想定される約0.5から2.4億トン/年の残余排出を相殺するためには、約数億トン/年のCDRが必要としている。しかし、除去コストは削減コストより高いため、自然には導入拡大が図れないことから、確実にCNを達成するためには、NETsの拡大に向けた取組を早急に開始することが重要であるとした。
NETsの現状分析・今後の方向性として、ネガティブエミッション市場創出に向けた方針を導くため、コストやポテンシャルといった技術的観点と、除去量の確認の容易さなどの導入環境的観点の、合わせて10の視点に基づいて個別技術の現状分析を行い、各技術の今後の方向性について提示した。さらに、「除去効果の把握が難しい」というNETsの特殊性を踏まえ、NETsの社会実装の鍵となる、「除去効果の確認手法が確立・認知されているか」「社会・環境への影響が把握できているか」という項目を軸に、目指すべき段階と取り組むべき具体的行動、及び各技術の位置づけについて考察を行った。
本取りまとめでは、ネガティブエミッション市場創出に向け、①欧米等の検討状況も踏まえた、市場形成の初期段階における政府支援の検討の必要性、➁CO2除去(CDR)の価値を取引するためのカーボン・クレジット(除去クレジット)の活用環境の整備と初期需要の拡大、③コベネフィット(CO2除去以外の副次的価値)も含めたビジネスモデルの推進と需要家への理解促進、④市場獲得に向けて必要なルール形成に向けた検討体制の構築、について整理を行った。
【参照ページ】
2050年カーボンニュートラル(CN)の達成に必要な、ネガティブエミッション技術(NETs)の社会実装・産業化に向けた方向性をとりまとめました