8月15日、伊藤忠商事株式会社は、大成建設株式会社と、「CO2固定化技術」を有する豪州Mineral Carbonation International(MCi)との協業に関する覚書を締結した。
MCiは豪州で「CO2固定化技術」を研究・開発するスタートアップ企業であり、製鉄工程で生じるスラグ等の副産物や火力発電所で生じる石炭灰、その他カルシウムやマグネシウムを含む様々な物質にCO2を固定させ、炭酸塩を製造する技術を有している。
伊藤忠商事は昨年7月にMCiに出資し、本技術の日本での展開を通じたCO2削減を目指す中、本技術の普及には炭酸塩の利活用の促進が重要と認識し、様々な用途での活用を検証している。今般、コンクリート原料としての炭酸塩の活用につき、大成建設とパートナーシップを組んで検証を進めることに合意した。
大成建設は、独自のコンクリート技術である「T-eConcrete®」シリーズの開発を進めている。そのうち「T-eConcrete/Carbon-Recycle」は、CO2を固定した炭酸塩をコンクリートに練りこみ、CO2をコンクリートに封じ込める技術である。これにより、主要な建設資材であるコンクリートのCO2排出量の削減に大きく貢献する。
MCiの「CO2固定化技術」は豪州国内外で高く評価されており、2021年11月にグラスゴーでのCOP26に合わせて開催された様々な脱炭素技術を有する2,700社以上のスタートアップ企業同士が競うピッチバトルでMCi社が優勝した。既にパイロットレベルでの実証を済ませており、本技術の更なるスケールアップを図るため、現在、豪州国内で大規模な実証プラントの建設準備を進めている。
伊藤忠商事はMCi社技術の日本国内での展開を図るべく、2021年3月に同社と覚書を締結した。その後、早期に実用化できる可能性があること、鉄鋼業界・電力業界等からの本技術への関心が非常に高いことを総合的に鑑み、2021年7月、同社への出資に至った。なお、本出資に伴い、MCi社技術の日本での事業展開については伊藤忠商事が独占的に行うこととなっている。
今後は本覚書におけるバリューチェーンの構築を進めるべく、スラグなどCO2と反応させる原料の安定的な調達、及び日本国内の炭酸塩実証プラント候補地の選定を進めていく。本技術と日本国内のCO2削減需要とのマッチングを図り、取引先企業のCO2削減課題の解決に寄与する。
【参照ページ】
MCi社との取組における大成建設との協業について