代替プラスチック「LIMEX」を提供するTBM、韓国財閥SKと135億円の資本業務提携

石灰石を主原料とした紙やプラスチックの代替素材「LIMEX(ライメックス)」を提供するTBMは、7月2日、韓国の大手財閥SKグループの投資法人SK Japan Investment Inc.(SK日本投資会社)と135億円の資本業務提携に合意したことを発表した。これにより、SKグループはLIMEX素材を韓国と米国向けに「LIMEX」ブランドとして販売する権利を得る。

TBMは、石灰石(炭酸カルシウム)などの無機物質を50%以上含む複合素材「LIMEX」を、主にレジ袋や食品容器などのプラスチック製品の代わりの素材として提供している(名刺など紙製品の代替素材としても使用可能)。

SKグループは、サムスングループ、現代自動車グループに次ぐ韓国3位の巨大財閥。SK日本投資会社は、2021年5月にSKグループの4社が共同出資して日本への投資向けに設立されたばかりの投資会社であり、400億円の投資予算を準備。特にESG関連分野への集中的な投資を計画しており、今回がその第一弾となった。

SKグループ、日本市場の攻略開始。ESG分野の投資強化

今後、グローバル展開を加速させていくうえで、TBMは各顧客や国の環境対応のニーズに合わせたLIMEX Pellet(プラスチックのように加工しやすいペレット状のLIMEX)やLIMEX Sheetの用途開発を進めていくとしており、調達した資金はそのための研究開発費用、グローバル人材採用、SKグループの事業会社との合弁事業などのために利用する予定だ。

また今回、TBMは業務提携の一貫として、SKグループの化学素材大手であるSKCとジョイント・ベンチャー(JV)を設立する。(JVへの出資比率は、SKCが51%、TBMが49%)

調達した資金の一部は、このJVにも出資される。JVではTBMが保有する石灰石(炭酸カルシウム)を活用した材料設計技術と、SKCが製造する生分解性プラスチック(PBAT)を組み合わせた「生分解性LIMEX」の開発・事業化を目指すとしている。

「生分解性LIMEX」は原料価格の安い石灰石を使うことで、通常の生分解性プラスチックに比べて価格競争力を持たせることが可能、とTBMは述べている。仮に「生分解性LIMEX」がゴミとして環境中に流出した場合、生分解性プラスチックの部分は分解されるため海洋マイクロプラスチック問題などに寄与できるそうだ。

【参照ページ】プラスチックや紙を代替する新素材LIMEXを開発するTBMは、韓国のSKグループと135億円の資本業務提携を合意

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