経産省、工業用水道事業におけるBCP策定ガイドラインを策定

5月20日、経済産業省(以下、経産省)は、大規模地震や大規模災害時等においても、産業活動の基盤となる工業用水の安定供給の確保を図るため、「工業用水道事業におけるBCP策定ガイドライン」を策定した。

BCP(事業継続計画)とは、災害などの緊急事態が発生したときに、企業が損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るための計画である。

発災時に工業用水道事業を中断させないこと又は早期復旧のために、全ての工業用水道事業者において事業継続計画(BCP)が策定されていることはもとより、策定済みの事業者においても、目標復旧時間の設定やユーザーとの連携など実際の被災時を想定したさらなる内容の精査が必要であることが、産業構造審議会工業用水道政策小委員会の中間取りまとめ(令和3年6月公表)において盛り込まれた。

これらを背景とし経産省はガイドライン策定に当たって、より実効性の高いBCPとするべく、学識経験者、工業用水道事業者のほか、ユーザー企業も含む様々な有識者にヒアリングを実施した。

以下、策定したガイドラインのポイント

  • 本ガイドラインでは、工業用水の供給停止をもたらす全ての可能性を考慮し、あらゆる発生事象(災害等)を対象にするとともに、想定外の事象(不測の事態)に対しても有効となり得ることから結果事象(施設の被害等)の観点からも整理。
  • 発災時における事業継続や早期復旧を目指しつつ、ユーザー企業の操業に支障が生じないよう供給が行われるなど、「ユーザー企業における事業活動の継続確保」も考慮し、計画策定内容を整理。
  • 継続的なBCPの見直し・改善を通じ、より実効性のあるBCPが策定されるよう、事業継続マネジメント(BCM)の考え方を反映。
  • BCP未策定事業者が検討に着手しやすくなるよう、最低限必要となる計画策定内容を整理し、一覧性のあるチェックリストとして提示。

【参照ページ】
「工業用水道事業におけるBCP策定ガイドライン」を取りまとめました

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-16

    セブン&アイHD、TCFD・TNFD統合開示を公表 財務インパクトの試算と自然資本分析も深化

    9月8日、セブン&アイ・ホールディングスは、「気候・自然関連情報報告書―TCFD・TNFD統合開示…
  2. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る