3月14日、日本銀行の金融機構局は「気候変動に伴い日本の金融機関が直面する物理的リスク」レポートを発表した。金融機構局は本レポートにおいて、気候変動に伴い日本の金融機関が直面する物理的リスクについて、水害が実体経済・地価・金融機関財務に及ぼす影響を中心に考察した。
過去の日本のデータを用いた実証分析によると、水害被害による実体経済や地価、金融機関財務に対する二次的な悪影響は、標本期間内の水害でみる限り、必ずしも大きくなく、中期的には復興の進展とともに剥落してきたことが確認された。
水害発生に伴う物理的リスクを評価する際には、今後生じうる気候変動の影響を織り込む必要がある。本レポートにおいて、マクロ経済モデルでラフなシミュレーションを行ったところ、非常に長い目でみれば、実質 GDP や金融機関全体の自己資本に相応の影響を及ぼしうることが示された。
物理的リスクに関しては、世界が脱炭素社会へ移行するスピードや、世界平均気温と災害の頻度・規模や生産性との関係など、さまざまな要因に大きく依存しており、不確実性がきわめて高い点に留意する必要性があるとしている。日本銀行金融機構局は、金融機関が直面する物理的リスクの捕捉に向けて、国際的な議論の動向も踏まえつつ、高粒度データの一段の活用なども含め、引き続き調査・分析を深める方針だ。
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気候変動に伴い日本の金融機関が直面する物理的リスク