1月24日、デロイトトーマツグループは、M&Aのライフサイクル(MALC)において持続可能な企業活動の支援を加速させるため、ESGの観点から競争優位性を評価する「ESGデューデリジェンス(ESGDD)」を強化し本格展開することを発表した。
2021年3月、バリューチェーン上の人権および環境に関するデューデリジェンスの実施を企業に義務付けるためのレポートが欧州議会にて採択されて以降、ESGに関連するデューデリジェンス義務化の議論は加速している。 デロイト トーマツが提供するESGDDは、MALCにおける「M&A取引準備」と「デューデリジェンス+M&A取引実行」のプロセスのなかで、ESGの観点からリスクと機会の評価を行う。従来の財務・税務・法務・人事・ビジネスデューデリジェンスなどを有機的に組み合わせ、サステナビリティを含む各領域の専門家による協働体制のもと、財務価値・非財務価値双方を考慮した総合的なディール・サービスを提供する。また、調査対象会社の環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)に係る経営環境(外部環境)と事業運営(内部環境)をリスクと機会の観点から調査・分析を行うことで、事業モデルの強みと課題を把握する。
実施手順としては、①デスクトップ調査、②ヒアリング調査、③ESGDD結果報告というプロセスが踏まれる。
①デスクトップ調査では、SASBを元にしたチェックリストをもとに、対象会社のESG経営度を開示情報および提供された資料を調査・分析し、ESG取り組み状況を把握する。②ヒアリング調査では、デスクトップ調査で把握できない事項や、識別したリスクや機会に係る現状の取り組み状況に関して、主管部署や統括責任者にヒアリングを実施する。さらに識別されたリスクに関しては、発生原因や是正措置状況を確認し、ESGに係る価値やリスク、統制環境を評価する。③ESGDD結果報告では、デスクトップおよびヒアリング調査から移行リスク・物理的リスクなどに対するマネジメント体制や違反件数等のパフォーマンスを分析、ESG経営に係るリスクを評価し、改善提案を含めた報告書を作成する。
またESGDDの結果をもとに、契約・条項検討の際の特約条項でのヘッジや、PMI準備におけるポストディールにおける再編・ポートフォリオ最適化・バリューアップ機会、モニタリング等の提言を行う。