10月6日、山形大学は、米糠タンパク質濃縮物からの代替肉調整に成功したと発表した。本研究成果により、代替肉原料の選択肢が広がり、国内自給が可能で国内産原料で安心・安全な代替肉生産が期待されるという。
今回開発された代替肉は、山形大学学術研究院 渡辺昌規教授(バイオマス資源学)の研究チームと株式会社サタケの共同研究により開発した、米糠より米油を抽出する際に発生する副産物(脱脂米糠)から高濃度・高栄養価・安全性の高い(アレルゲン・GMOフリー)米タンパク質を製造する技術(IP-EWT法)により得られたタンパク質を原料としている。米タンパク質、さらに、脱脂米糠から製造された代替肉は世界初となる。
肉などの動物タンパク質は、製造、輸送の過程で大量の温室効果ガスを発生するとともに、食肉輸入国は、家畜の飼育に必要とされる水資源をバーチャルウォーターとして世界中から搾取していると言われており、環境への負荷が危惧されている。これらを背景に、大豆などの植物タンパク質を原料とした代替肉及び代替肉加工品の開発・市場導入が世界規模で進められている。
研究チームは、本特許技術により得られるタンパク質が高濃度・固形状態で回収・精製されることに着目。米糠タンパク質を原料とした、代替肉の開発を目指し、本タンパク質の物理化学・栄養機能特性の解析、代替肉調製方法の確立を進めてきた。その結果、大豆タンパク質製造された代替肉と同様な微細構造、弾力性を示し、さらに、国内産原料で安心・安全な米糠由来タンパク質の代替肉への実用・事業化の可能性が示された。
本技術の確立・事業展開は、従来の白米を生産する農業から、白米+タンパク質を生産する農業への転換を意味する。これにより、収益性が高く、持続可能な稲作への転換が期待される。また、同研究チームは今後、当該タンパク質の高齢者への効率的な供給により、サルコペニア(筋肉量低下)予防による、健康寿命と平均年齢の差の縮小に貢献したいと述べている。