10月7日、NTTと東京大学は、低環境負荷な材料のみで構成した電池(低環境負荷電池)と回路(低環境負荷回路)を用いてPoC(Proof of Concept)のためのセンサ・デバイスを作製し、世界で初めて通信信号の生成に成功したと発表した。
今回の共同研究では、「資源性を考慮し、貴金属を使用しないこと」と「有害性を考慮し、原則、環境経由で人間や動植物に影響を与える恐れのある化学物質群を使用しないこと」を低環境負荷な材料を選定する際の考え方とした。
この考え方に基づき選定した材料を用いて、低環境負荷回路・低環境負荷電池を作製した。低環境負荷回路は、カーボン材料で全電極を構成する有機トランジスタ作製プロセスを開発し、カーボン電極有機トランジスタを用いて、CMOS構造のアナログ発振回路やデジタル変調回路を構成した。
低環境負荷電池は、有機半導体で構成した低環境負荷回路を駆動するには電荷輸送に高い電圧が必要な為、低環境負荷材料として選定したカーボンを電極として適用するための3次元の導電性多孔体構造の形成、および電池の直列化構造による高電圧化について取り組みを行った。
NTTは、センサ・デバイスの回収・分別・廃棄の問題に対応する為、廃棄時においても環境・生物への影響が小さい材料を選択したデバイスの研究開発を推進してきた。2018年には、肥料成分と生物由来材料から構成した、「ツチニカエルでんち」を作製した。
【参照ページ】
世界初、貴金属・有害物質を含まない材料で構成した回路・電池で通信信号の生成に成功
~IoTの発展に向け、低環境負荷センサ・デバイスを指向~