非財務情報の証明業務をAIで迅速化

9月23日、AIを活用して企業のESGおよび規制遵守データの証明作業を自動化するドイツ発のスタートアップSunhatは、シリーズAラウンドで920万ユーロの資金を調達したと発表した。主導したのはCommerzVenturesで、既存投資家のCapnamic、EnBW New Ventures、xdeck、WEPA Venturesも参加した。Sunhatはこれまでに合計1,420万ユーロの資金を調達し、20カ国以上での展開を経て、今後15ヶ月で10倍成長を目指す。

Sunhatが解決を目指すのは「プルーフギャップ」である。企業はサステナビリティや規制遵守に関して多数の情報や文書を保持しているものの、顧客や投資家、監査機関の要求に即座に対応できる体制を整えている企業は少ない。Sunhatは、このようなニーズに応えるため、ISOやCDP、CSRDなどの国際的な基準や開示フレームワークに対応した「Proof AI」と呼ばれる独自エンジンを開発し、既存の業務システムと連携して自動的に検証済みデータを生成・提示できるようにしている。

顧客には、エネルギー大手EnBWや消費財メーカーIngredion、ポンプメーカーGrundfosなどが名を連ねており、さまざまな業界の大手企業に利用が広がっている。特にIngredionの事例では、通常であれば提出が困難だった48時間以内の顧客サステナビリティ調査への回答を、Sunhatのプラットフォームを活用することで数時間以内に完了できたという。

Sunhatは今後、チームを倍増させ、ESGデータの枠を超えて100以上の国際的な規格・認証に対応する体制を構築する。また、ESG、ファイナンス、エンタープライズ向けの新たな連携先として20の統合パートナーを追加予定で、欧州、英国、北米の大手企業500社への導入を目指す。

(原文)Sunhat raises €9.2 Million Series A to solve the “Proof Gap” for Enterprises
(日本語参考訳)サンハット、企業の「証明ギャップ」を解決するためにシリーズAで920万ユーロを調達

関連するオリジナル解説>>>サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

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