
8月12日、シンガポール拠点のフードテック・スタートアップ Prefer は、食品副産物を発酵させてコーヒーやココアの味と機能を再現する持続可能な原料の開発を手がける企業で、新製品となる溶解性コーヒーとココアパウダーの商業発売を発表した。また同時に、420万ドルのプレシリーズA資金調達を実施した。
今回のラウンドは At One Ventures と Chancery Hill Capital が共同でリードし、既存投資家の Forge Ventures も参加した。この資金調達ラウンドにより、同社の累計調達額は 620万ドル に到達した。資金は、主要市場における委託製造体制の拡充、ココア風味の研究開発強化、アジアを中心としたグローバルパートナーシップの拡大に活用される。
Preferは、発酵技術と焙煎プロセスを用いて米や大豆など食品副産物をアップサイクルし、コーヒーやココアの風味と機能を再現した原料を製造している。同社が新たに発売した 溶解性コーヒーとココアパウダー は、ライフサイクル分析で従来のアラビカコーヒーと比較して 最大85%の温室効果ガス排出削減、最大50%のコスト削減を実現するという。
CEOのジェイク・ベルバー氏は「新製品の品質とパートナーの支援により、コーヒーとココアをより多くの人々に提供しつつ、地球環境を尊重する独自の立場にある」とコメントしている。
Preferは、すでにシンガポールの食品企業 Melvados と提携し、フードサービスチャネルを通じてコーヒー製品の商業化を進めている。さらに今回、タイの味の素(Ajinomoto Co., (Thailand) Ltd)、および オーストラリア・ニュージーランドのThe Coffee Ferm との最初の国際的商業提携も発表した。
- 味の素タイ法人とは、「Eat Well, Live Well」のライフスタイルに沿った持続可能なコーヒー製品を共同開発。
- The Coffee Ferm とは、Preferの風味知財のライセンス供与を通じて、現地での製造・流通を拡大する計画だ。
At One Ventures のパートナーでPreferの取締役も務めるヘレン・リン氏は「私たちは、愛される消費者製品と環境負荷の大きいサプライチェーンを切り離す食料システム変革の初期段階にいる」と述べ、Preferの技術が食料産業に大きなインパクトをもたらすとの見方を示した。
Preferは2022年に設立されたスタートアップで、持続可能かつ低炭素な食品原料の開発に注力している。今回の資金調達を機に、アジア市場を起点とした国際展開をさらに加速させる構えだ。