独エディフィオン、ビル省エネAIで29億円調達 欧州展開を加速

6月23日、建物のエネルギー効率をAI(人工知能)で最適化するドイツのスタートアップ、エディフィオン(aedifion)は、シリーズBの資金調達ラウンドで約1700万ユーロ(約29億円)を確保したと発表した。調達した資金は、技術開発の強化と欧州全域への事業拡大に充てる。

今回の資金調達は、欧州のグロース投資家ユーラゼオ(Eurazeo)が主導し、既存投資家であるドレス&ゾマーや、欧州の有力な気候テックVCであるワールド・ファンドなども追加出資した。

欧州では、建物がエネルギー最終消費の約4割、温室効果ガス排出量の約36%を占めており、脱炭素化が急務となっている。エディフィオンが開発したAI搭載のクラウドプラットフォームは、商業ビルなどの暖房・換気・空調(HVAC)設備からリアルタイムでデータを収集・分析。気象予報なども統合し、自律的に運転を制御することで、エネルギー消費量やCO2排出量、運用コストを最大40%削減できるという。

同社は現在、欧州や米国を中心に約500棟、延べ600万平方メートル以上のビルを管理しており、年間経常収益は前年比で倍増するなど急成長を遂げている。

今後は、この資金を元手に欧州の新たな市場へ参入するほか、生成AIを活用した「仮想ビルアシスタント」の開発も進める。これにより、専門家不足が課題となるビルの運用保守を、自然言語での対話を通じて簡素化し、効率化を図る。

エディフィオンのヨハネス・フュッテラーCEOは、「強力なパートナーと共に、我々のプラットフォームを欧州のリーディングソリューションとして確立していく」と意気込みを語った。

(原文)aedifion Secures Series B Funding for AI-Based Building Optimization
(日本語参考訳)aedifion、AIベースの建物最適化でシリーズB資金調達

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