
5月9日、ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は、FY2026州予算の一環として、同州史上最大規模となる10億ドルの環境・気候関連投資を発表した。「Sustainable Future Program」と名付けられた本包括的プログラムは、州全体の温室効果ガス排出削減、住宅のエネルギー効率向上、グリーン雇用創出を同時に進めるものである。知事は、再生可能エネルギー導入やクリーン輸送、建築物の脱炭素化など多岐にわたる取り組みを通じて、持続可能かつ公平な成長を実現する決意を表明した。
10億ドルのうち4億5000万ドルは、住宅改修やヒートポンプ導入、学校など公共施設の省エネ化に充てられる。また、SUNY・CUNYキャンパスを含む州施設に熱エネルギー・ネットワークを整備するため、2億ドル超が投じられる予定である。さらに2億5000万ドル以上が、電動スクールバスや高速充電インフラへの支援、そしてNYSERDAの「Charge Ready NY」プログラムに振り向けられ、再生可能エネルギー事業や送電網の近代化にも2億ドルが確保される。
また、4億2500万ドル規模の「環境保護基金(EPF)」を通じて、生態系保全や開発抑制、気候変動対策、水質改善、公園やリサイクル制度の支援が行われる。加えて、クリーン水インフラには5億ドルが追加投入され、老朽化した給水システムの近代化や鉛管の交換、地下水源の保護が進められる。非営利団体による自然保護や歴史的建築物の保存に関連する土地取得も税制優遇の対象とされる。農業分野においては、4億2500万ドルのEPFの一部として、農地保全と気候変動への適応を支援するプログラムに9000万ドル以上が割かれ、農業部門の持続可能性を強化する。特に乳製品分野では、1,000万ドルを第2回「乳業近代化助成プログラム」に投じ、温室効果ガス排出削減や気候対応型の経営技術の導入が促進される。さらに、若者の健康増進とデジタル依存からの脱却を目指す「Unplug & Play」イニシアティブも予算に含まれ、公共の遊び場や水泳施設、コミュニティセンターの整備に2億ドル以上が充てられる。また、州博覧会場やエキスポセンターの改修にも予算が投入され、地域イベントの受け皿としての機能強化も進む。
知事は声明で、「我々はニューヨーク州の自然資源を誇りに思い、環境保全と地域経済の両立を目指す」と語り、持続可能な成長に向けた多面的な取り組みの意義を強調した。今回の予算は、気候変動への対応と州内産業の強化を同時に実現するロードマップとして位置づけられる。
(原文)Governor Hochul Announces Historic Investments to Secure a Sustainable Future for All New Yorkers and Support Our Agriculture Industry as Part of the FY 2026 Budget
(日本語参考訳)ホークル知事は、2026年度予算の一環として、すべてのニューヨーク市民の持続可能な未来を確保し、農業産業を支援するための歴史的な投資を発表した。