
3月25日、Frontierは、米国南部および中西部で岩風化促進(Enhanced Weathering)による炭素除去を行うスタートアップのEionとの間で、総額3,300万ドル規模のオフテイク契約を締結した。これにより、2027年から2030年の間に78,707トンのCO₂を除去する計画である。
同社は、風化が早くCO₂と迅速に反応する鉱石「オリビン」を農地に散布し、大気中のCO₂を炭酸水素塩へと変換、海洋に恒久的に固定する技術を展開している。オリビンは、土壌酸性を中和するために一般的に使用される石灰資材の代替品にもなり得ることから、農業現場への導入が容易であり、炭素除去クレジットによる価格補助も受けられるため、農家にとって経済的メリットが大きい。
同社は、GrowmarkやSouthern Agなど大手農業流通業者と提携し、現地のアドバイザーを通じて農家とのネットワークを拡大している。自社スタッフによる作業ではなく、既存の流通網と専門知識を活用することで、効率的なスケールアップを実現している。
オリビンは風化速度が高く、データ収集と実証が迅速に進むため、将来的には玄武岩など他の供給量豊富な岩石を活用した強化風化の実用化を加速する役割も期待されている。また、Eionは、土壌深部のサンプリングを含む独自のMRV(計測・報告・検証)研究を行い、土壌中での炭素除去過程の解明にも取り組んでいる。
この取り組みには、Stripe、Google、Shopify、Autodesk、H&M Group、JPMorgan Chase、SalesforceなどFrontier Founding Membersをはじめとする多数の企業が資金提供者として参加しており、民間主導で農業を起点とした新たな炭素除去市場が拡大しつつある。
(原文)Frontier buyers sign $33M in offtake agreements with Eion
(日本語参考訳)フロンティアバイヤーがEionと3,300万ドルのオフテイク契約を締結