12月17日、FrontierbuyerはCO280とCREW Carbon(CREW)との間で、2030年までに合計296,378トンのCO₂を除去することを目指す契約を締結した。これにより、産業界における炭素除去の新たな可能性が広がると期待されている。総額8000万ドルにおよぶ本契約は、既存の産業プロセスに炭素除去技術を組み込むという革新的なアプローチを採用している。
革新的な技術が炭素除去を促進
CO280は、パルプ・製紙工場における「バイオマス炭素除去・貯留(BiCRS)」プロジェクトを展開している。製造過程で発生する生物起源CO₂を回収し、永久的に地下に貯蔵する技術を用いている。一方、CREWは廃水処理プラントで、排水中の有機廃棄物から生成されるCO₂をアルカリ性鉱物を使って安定化させ、安全に環境中へ戻すプロセスを開発している。
これらの取り組みは、低コストで大規模な炭素除去を可能にするだけでなく、既存のインフラを活用することで、新たな設備建設にかかるコストと時間を削減することを目指している。
契約の詳細と目標
- CO280は2028年から2030年の間に224,500トンのCO₂を除去するために4,800万ドルを受け取る。
- CREWは2025年から2030年の間に71,878トンのCO₂を除去するために3,210万ドルを受け取る。
これにより、両社は既存産業プロセスへの炭素除去技術の統合を加速させる。
低コストでの炭素除去を実現
両プロジェクトは、炭素除去において1トン当たり100ドル以下という低コストを実現可能とする。特に注目すべきは、CO280の技術がパルプ・製紙工場の廃棄物処理システムを活用する点である。この方法は、光合成による自然な炭素捕捉や既存インフラの活用により、効率的かつ持続可能なプロセスを提供している。また、CREWのアプローチは、既存の廃水処理プラントに簡単な改修を加えるだけで炭素除去を可能にし、広範な地域での導入が期待されている。
産業界への波及効果
CO280とCREWが採用する技術は、他の産業分野への応用可能性も高い。例えば、セメント工場や廃棄物管理システム、バイオエネルギー施設などへの展開が考えられる。これにより、将来的には数十億トン規模のCO₂除去が可能になると見込まれている。
炭素除去が生み出す未来
Frontierの今回の契約は、持続可能な産業運営と炭素中立への大きな一歩を象徴している。CO280とCREWの取り組みは、単なる環境技術の発展にとどまらず、産業界全体の脱炭素化を加速する可能性を秘めている。
今後、これらのプロジェクトが世界中で採用されることで、気候変動への対応と産業界の革新がどのように進展するのか注目が集まる。
【参照ページ】
(原文)Frontier buyers sign $80M in offtake agreements with CO280 and CREW Carbon
(日本語参考訳)フロンティア・バイヤーがCO280およびCREWカーボンと8000万ドルのオフテイク契約に調印