バイデン政権、産業界の脱炭素化プロジェクトに約9,079億円を投資

バイデン政権、産業界の脱炭素化プロジェクトに約9,079億円を投資

3月25日、米エネルギー省(DOE)は、化学、鉄鋼、食品、石油精製、セメントなど、脱炭素化が困難な産業分野の排出量を大幅に削減するための技術開発を目的とし、最大60億ドル(約9,079億円)の資金を獲得する33のプロジェクトを選定したと発表した。

DOEによると、今回の発表は、産業界の脱炭素化に対する米国史上最大規模の投資であり、プロジェクトは、排出量が多く、削減が困難ないくつかのセクターから、年間1,400万トン以上のCO2排出量に相当する削減が期待されている。

産業部門の脱炭素化は、バイデン政権の気候変動アジェンダの重要な重点分野であり、産業部門は米国の排出量の3分の1近くを占めている。同政権のインフレ削減法(IRA)と超党派インフラ法(BIL)には、カーボンフリー・エネルギー、製造業、クリーン・テクノロジーなどの分野への気候変動に焦点を当てた投資に約5000億ドル(約75兆円)の割り当てが含まれている。

新たな賞は、バイデン政権の産業実証プログラムの一環として授与される。昨年DOEによって開始されたこのプログラムは、この10年間で規模を拡大するために、第一段階または初期段階の脱炭素化プロジェクトにかかる費用の最大50%を提供するもので、産業界を脱炭素化に向けて加速させ、実証された技術を広く普及させるための後続投資を促進し、よりクリーンな製品の新市場を可能にし、地域社会に利益をもたらすプロジェクトに優先権が与えられている。プロジェクトの資金には、超党派インフラ法からの5億ドル(約767億円)近くとインフレ削減法からの54億ドル(約8,171億円)以上が含まれる。

DOEによると、このプログラムによって資金を提供されるプロジェクトは、平均77%の排出量削減が期待され、連邦政府の投資は、エネルギー効率化、電化、代替燃料や代替原料を含む経路にわたって、商業規模の脱炭素化ソリューションの実証に向けて200億ドル(約3兆円)以上を活用するプロジェクトによってマッチングされる。

セクター別では、化学・精製プロジェクト7件、セメント・コンクリートプロジェクト6件、鉄鋼プロジェクト6件、アルミ・金属プロジェクト5件、食品・飲料プロジェクト3件、ガラスプロジェクト3件、プロセス熱に特化したプロジェクト2件、パルプ・製紙プロジェクト1件が受賞交渉の対象として選ばれた。

今回発表された大型プロジェクトでは、センチュリー・アルミニウムによるグリーン・アルミニウム製錬所プロジェクト、ナショナル・セメント・カンパニー・オブ・カリフォルニアによるレベック・ネット・ゼロ・セメント・プラント・プロジェクト、ハイデルベルグ・マテリアルズUSによるミッチェル・セメント・プラント脱炭素化プロジェクト、クリーブランド・クリフス・スチールによる水素レディ直接還元鉄プラントおよび電気溶融炉設置プロジェクト、SSABによる水素燃料ゼロエミッション製鉄プロジェクトにそれぞれ最高5億ドル(約756億円)が授与された。

【参照ページ】
(原文)Biden-Harris Administration Announces $6 Billion to Transform America’s Industrial Sector, Strengthen Domestic Manufacturing, and Slash Planet-Warming Emissions
(日本語参考訳)バイデン=ハリス政権、アメリカの産業部門を変革し、国内製造業を強化し、地球温暖化排出量を削減するために60億ドルを拠出すると発表

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