MSCIの調査より、公的気候変動ファンドと民間気候変動ファンドでは、ネット・ゼロへの移行機会が大きく異なることが明らかに
3月19日、投資データ・リサーチプロバイダーであるMSCIが発表した新しい調査によると、ここ数年、気候変動関連投資ファンドの数は急増しているが、民間市場と公的市場の気候変動ファンドの構成には大きな違いが生じている。
報告書は、「ネット・ゼロ、クリーンテック、再生可能エネルギー、低炭素」などのフレーズを含む気候関連の名称を持つ私募ファンドと公的ファンドを調査し、各グループの資金調達動向、セクター構成、原資産クラスを評価した。
本調査では、過去数年間、民間市場と公的市場の両方において、気候変動ファンドへの「グリーンラッシュ」が起きていることが明らかになった。2020年から2023年第3四半期までの間に、民間市場で設立された気候変動ファンドの数は、過去9年間の合計よりも多く、これらの新規ファンドは、民間市場の気候変動ファンドに含まれる累積資金905億ドル(約13兆円)の70%以上を占めている。同様に、現在市場には1,300以上の公的市場向け気候変動ファンドがあり、その70%以上が2020年から2023年第3四半期までに組成されたもので、AUMの80%近くを占めている。
本調査で明らかになった私募ファンドと公募フ ァンドの最も大きな違いの一つは、各ファンド が対象とするセクターの構成であり、私募フ ァンドは、高排出セクターに大きく集中し、ネット・ゼロ移 行の恩恵を最も受けやすいセクターのサブインダ ストリーに投資している。例えば、公共投資ファンドの公益セクターへの資産ウェイト・エクスポージャーは6%未満であるのに対し、私募ファンドの公益セクターへのエクスポージャーは約45%で、このうち40%以上は再生可能電力を対象としている。
一方、ベンチャーキャピタル(VC) ファンドは、ファンド総数の30%近くを占め、VC NACの半数以上がアーリーステージ企業(主に工業・素材セクター)を対象としている。公的気候変動ファンドの場合、株式が約85%を占め、債券はわずか14%で、主にグリーンボンドファンドに集中している。
【参照ページ】
(原文)In the Name of Climate: Private vs. Public Funds
(日本語参考訳)気候という名のもとに 民間資金と公的資金