世界大手企業の脱炭素が転換点へ アクセンチュア「Destination Net Zero 2025」報告書

11月11日、アクセンチュアは「Destination Net Zero 2025」報告書を通じ、世界の大手企業における脱炭素の進展と課題を分析した。対象は世界の売上上位4,000社(G4000)で、脱炭素の実行状況、排出実績、レバー(施策)導入度、ネットゼロ達成見通しを包括的に評価している。 Accenture-Destination-Net-Zero-…

報告書によれば、企業のサステナビリティへのコミットメントは強まっており、G2000におけるバリューチェーン全体(Scope1・2・3)を対象としたネットゼロ目標の設定は4年連続で増加し、41%に達した。各社は21の脱炭素レバーのうち13を半数以上が導入しており、取り組みは「目標設定中心」から「実行段階」へ移行している。

G4000全体では、能源効率化、再エネ導入、循環型施策、デジタル活用など広範なレバーが採用され、企業収益と排出量の「デカップリング」も進行した。2016年以降、売上は年平均7%増加した一方、Scope1・2の総排出量は横ばいで推移している。75%の企業が排出原単位を削減しており、半数が絶対排出量を削減した。

しかし、全体の進捗には大きなギャップが残る。G4000で2050年までに自社事業(Scope1・2)のネットゼロ達成ペースに乗っている企業は16%にとどまり、それら企業が占める排出量は全体の4%に過ぎない。特にエネルギー、天然資源、ユーティリティの3分野で排出の71%が集中し、多くの企業が依然として排出を増加させている。

報告書は、目標・ガバナンスの強化、脱炭素レバーの拡大と深度化、ビジネス価値との統合、デジタル化と協業の加速を「進展の4つの促進要因」と定義する。さらに、AIは次世代の脱炭素レバーとして期待されているが、現在導入が確認される企業は24%にとどまり、AI自身の排出フットプリント管理を行う企業は4%に過ぎない。

総じて報告書は、世界大手企業が雄大なネットゼロ目標を掲げながらも、実行スピードと規模が依然として不十分である点を指摘し、より高度で連動性の高い脱炭素戦略の必要性を強調している。

(原文)Destination Net Zero 2025

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