ISSB、自然関連情報開示の強化へ TNFDは技術作業を2026年までに完了し新規着手を一時停止

11月7日、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が現在進めている技術作業を2026年第3四半期までに完了し、その後の新たな技術ガイダンス作成を一時停止すると発表したことを歓迎すると表明した。

TNFDの判断は、ISSBが投資家の情報ニーズに応えるため、自然関連のリスクと機会に関する開示の標準設定作業を進める方針を示したことを受けたもの。ISSBは今後、既存の「IFRS S1(サステナビリティ関連財務情報の一般要求)」および「IFRS S2(気候関連開示)」で明示されていない自然関連情報について、追加的な開示要件の策定に着手する。

ISSBは今後数カ月以内に標準設定の具体的なアプローチを決定する方針で、既存基準の改訂や適用ガイダンスの追加、産業別ガイダンス、新たな基準の策定などが選択肢として検討される。これらはIFRS財団のデュー・プロセスに基づき、公開協議を経て進められる見通しだ。

標準設定後には、企業が自然関連情報を適切に開示できるよう、必要な教育資料の整備も行われる。ISSBはTNFDが採用する「非サイロ型アプローチ」を踏まえ、自然全体を包括的に扱う同タスクフォースの枠組みや推奨事項、指標、LEAP(Locate, Evaluate, Assess, Prepare)アプローチを参照する。

ISSBは、2026年10月に予定されている次回の生物多様性条約締約国会議(COP17)までに、追加開示要件の公開草案(Exposure Draft)をまとめることを目指す。

(原文)ISSB welcomes TNFD’s support as it advances nature-related disclosures
(関連オリジナル解説)TNFD・自然移行計画の5つの構成要素と先行事例/実践例の紹介

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