環境省、温対法SHK制度のCO2算定ルール大幅改正

12月12日、環境省は、地球温暖化対策推進法(温対法)に基づく温室効果ガス排出量の算定・報告・公表(SHK)制度を改正する省令及び命令を公布し、2024年4月1日から施行されることを発表した。この改正は、2023年度の実績報告から新たな規則が適用されるもので、以前の報告方法や範囲が一部見直されたことを踏まえている。

改正の主なポイントは以下の通りである。

1.算定対象の拡大
・二酸化炭素に関しては、石炭の生産、原油の輸送、地熱発電施設における蒸気の生産、炭酸塩の使用などが追加。
・メタンについては、コークスの製造、木炭の製造、原油の輸送、天然ガスの輸送などが新たに算定対象となった。
・一酸化二窒素では、木炭の製造、半導体素子等の製造、林地における肥料の使用などが追加された。

2.GWPの更新
・メタン、一酸化二窒素、フッ素類の地球温暖化係数(GWP)も更新された。

3.廃棄物における変更。
・廃棄物の燃料利用または廃棄物燃料の使用により発生する二酸化炭素がエネルギー起源二酸化炭素と位置付けられ、これによりごみ発電(廃棄物発電)からの排出量も算出が必要となる。ただし、調整後排出係数では計上しない。

4.証書による排出量の控除の上限設定
・グリーン電力証書やグリーン熱証書による排出量の控除に上限が設定され、電力証書は他人から供給された電気の使用に伴う二酸化炭素排出量、熱証書は他人から供給された熱の使用に伴う二酸化炭素排出量が上限となる。

5.ガス事業者及び熱供給事業者における公表
・ガス事業者及び熱供給事業者も、電気事業者と同様に基礎排出係数・調整後排出係数を温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度のウェブサイトにて公表する。

この改正はGHGプロトコルに基づく算定とは独立しているが、事業者毎のガスの排出係数が公表されることで、GHGプロトコルでもガスに関する算定が容易になると期待されている。

【参照ページ】
「特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令の一部を改正する省令」及び「温室効果ガス算定排出量等の報告等に関する命令の一部を改正する命令」の公布について

関連記事

“導入事例へのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-16

    SSBJ公開草案の重要ポイント解説:今後の気候変動の情報開示はどう動くか

    2024年3月29日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内のサステナビリティ開示基準の草案…
  2. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  3. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…

ピックアップ記事

  1. 2024-5-2

    環境NGO、MUFG、SMFG、みずほFG、中部電力に気候変動株主提案を再提出

    4月15日、環境NGOの3団体は、MUFG、SMFG、みずほFG、中部電力の4社に対し、気候変動株…
  2. MUFG

    2024-4-30

    MUFG、サステナブルファイナンス目標を100兆円に引き上げ

    4月1日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、サステナブルファイナンスの実行額目標を…
  3. 2024-4-30

    経産省とJPX、SX銘柄2024として15社を選定

    4月23日、経済産業省と東京証券取引所(JPX)はサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX…
ページ上部へ戻る