12月14日、EUの市場規制機関である欧州証券市場庁(ESMA)は、投資ファンドの名称におけるESGやサステナビリティに関連する用語の使用に関するガイダンス案の更新を発表した。
「ESG」や「サステナビリティ」といった用語を含むファンド名がファンドの実際の投資方針や投資目的を公正に反映するようにすることで、投資家をグリーンウォッシュから保護することを目的としている。
ESMAが最近発表した調査結果によると、欧州ではここ数年、ファンド名にサステナビリティに関連する用語が使われるケースが急増しており、ファンドマネジャーがESG関連の新商品を発売したり、サステナビリティに関連する用語を組み込んだファンド名に変更したりしたことで、ESG用語を使用するファンドの割合が10年間で4倍以上に増加したという。本調査では、ファンド・プロバイダーがより一般的なESG用語を好んで使用していることも判明しており、投資家がファンド名と投資対象が一致しているかどうかの確認が難しくなっている可能性がある。
ESG関連用語の使用については80%、「サステナブル」やサステナビリティ関連用語の使用については50%とする。
ESG関連用語とサステナビリティ関連用語に異なる閾値を設けたことに対し、投資家グループからは、両用語を区別しないことが多い投資家にとって混乱を招きかねないとの批判があった。協議の結果、ESMAはサステナビリティに関連する閾値50%を削除し、その代わりに、サステナビリティの特徴を満たすために使用される投資対象の最低80%の割合の要件、パリ協定ベンチマーク(PAB)の除外(物議を醸す兵器やタバコの生産に関与する企業、石油燃料の探査・生産・精製から収益の10%以上を得る企業の除外など)の適用、SFDRの定義に沿った持続可能な投資への「意味のある」投資などの新しいガイドラインを導入した。
ガイドラインのもう一つの大きな変更点は、80%の投資基準を維持したまま、化石燃料関連のPAB除外を適用しない移行関連用語の新しいカテゴリーを導入したことである。規制当局はまた、ファンドの名称に「社会」や「ガバナンス」の用語が含まれている場合、化石燃料の除外によって制約を受けすぎる可能性があることを指摘した。
【参照ページ】
(原文)ESMA proposes changes and updates timeline for its Guidelines on funds’ names
(日本語参考訳)EU市場規制当局、ファンド名で「ESG」「サステナビリティ」用語の使用に関する規則案を更新