6月27日、BASFグループのコーポレート・ベンチャー企業であるBASFベンチャーキャピタルGmbH(BVC)は、独自のケミカルリサイクル技術を開発する持続可能なプラスチック・ソリューション・プロバイダーであるスイスの新興企業DePoly SA(DePoly)への投資を発表した。

2020年に設立された同社は、消費者・産業界から排出される混合ポリエステル・プラスチック廃棄物や、ポリエステルを含む織物や繊維を、バージン・グレードの品質で前駆体に戻すケミカル・リサイクル技術を開発した。このプロセスはエネルギー効率が高く、室温と標準圧力で稼働し、事前選別や事前洗浄、汚染物質の除去は不要である。BVCにとって、本投資は、循環型経済のための持続可能なソリューションの開発に対するBASFの継続的なコミットメントを強調するものである。

BVCは、ウイングマン・ベンチャーズと共同で、バイヤスドルフ、インフィニティ・リサイクリング、CIECHベンチャーズ、エンジェル・インベストなどの参加を得て、DePolyの1230万スイスフラン(約19億円)のシード資金調達ラウンドを主導した。今回の資金調達により、DePolyは解重合プロセスのスケールアップと開発を加速させ、2024年の操業開始を目指す実証プラントの建設につなげる。

プラスチックは日常生活に欠かせないものである。しかし、リサイクルされるのはわずか10%程度で、大半は焼却や埋め立てに回されている。ブランドオーナーが製品のリサイクル率向上を目指す傾向が強まるにつれ、高度なリサイクル技術への需要が高まることが予想される。DePolyは、このニーズに応えるユニークなソリューションを提供する。

BASFは、リサイクル原料や再生可能原料の使用を増やし、新たな材料サイクルを形成し、新たなビジネスモデルを創出することで、よりサーキュラー・エコノミー(循環型経済)への移行を目指している。そのため、BASFはサーキュラー・エコノミー・プログラムを実施している。2030年までに、BASFは循環型経済向けソリューションの売上高を170億ユーロに倍増させることを目指している。こうした取り組みの一例が、BASFのケムサイクリング事業である。DePolyへの投資は、この目標を支援するためのもうひとつのコミットメントである。

【参照ページ】
(原文)BASF Venture Capital invests in startup DePoly SA
(日本語参考訳)BASFベンチャーキャピタル、新興企業DePoly SAに投資

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