5月23日、米バイデン政権は、個人の権利と安全を守り、米国民に成果をもたらす責任ある人工知能(AI)の研究・開発・配備を進める新たな取り組みを発表した。
米政府はこれまで、責任あるAIイノベーションを促進するために、様々なアクションをとってきた。画期的な「AI権利章典のための青写真」と関連する行政措置、AIリスク管理フレームワーク、国家AI研究資源を立ち上げるためのロードマップ、AIが提起する国家安全保障上の懸念に対処するための積極的な取り組みなどが挙げられる。また5月中旬、同政権は主要AI企業の代表者を招集し、AIシステムに対するサイバー脅威と、価値の高いネットワークや情報を保護するためのベストプラクティスについて、国家安全保障コミュニティ全体の専門家からブリーフィングも行った。
本発表には以下が焦点となった。
AI研究開発(R&D)への連邦政府の投資を集中させるための最新のロードマップ: ホワイトハウスの科学技術政策局(OSTP)は、AI研究開発への連邦投資の主要な優先順位と目標を概説するロードマップである、2019年以来初めて更新された「国家AI研究開発戦略計画」を発表。連邦政府全体の専門家が一般市民の意見を取り入れながら策定した本計画は、AIに関して、連邦政府が責任ある米国のイノベーションを促進し、公共の利益に貢献し、人々の権利と安全を守り、民主主義の価値を維持する研究開発に投資することを明確にしている。本計画は、信頼できるAIシステムの開発と利用において、米国が引き続きリーダーシップを発揮できるようにするものである。
重要なAI問題に関するパブリックコメント募集:OSTPは、AIのリスクを軽減し、個人の権利と安全を保護し、生活向上のためにAIを活用するための国家的優先事項に関する意見を求めるために、情報提供要請書(RFI)を発行する。RFIは、AIのリスクを管理し、AIの機会を活用するためのまとまった包括的戦略を推進するための行政の継続的な取り組みを支援するものである。
教育におけるAIに関するリスクと機会についての新しい報告書: 米国教育省教育技術局は、新しい報告書「人工知能(AI)と教育と学習の未来」を発表する。本報告書は、教育、学習、研究、評価におけるAIに関するリスクと機会をまとめたもの。AIが教育者と生徒の新たな相互作用を可能にし、教育者が学習のばらつきに対処し、フィードバックのループを増やし、教育者を支援できることを認識している。また、アルゴリズムによるバイアスなど、AIに関連するリスクと、信頼、安全性、適切なガードレールの重要性を強調している。
上記発表に加え、米政府は、雇用主が監視、モニタリング、評価、管理のために自動化されたテクノロジーを使用している実体験を聞くため、労働者とのリスニング・セッションを開催する。公聴会には、コールセンター、トラック輸送、倉庫業、ヘルスケア、ギグワークなど、経済の多様なセクターを代表する労働者、政策専門家、研究者、政策立案者が参加する。
【参照ページ】
(原文)FACT SHEET: Biden-Harris Administration Takes New Steps to Advance Responsible Artificial Intelligence Research, Development, and Deployment
(日本語訳)米政府、「国家AI研究開発戦略計画」発表、責任あるAIの研究・開発・配備を進める