6月7日、エネルギー大手TotalEnergiesは、2028年までに年間50万トンの生産能力を達成する見込みであること、2030年までに年間150万トンの生産を目指すことなど、持続可能な航空燃料(SAF)の生産規模拡大に向けた一連の新しい目標を発表した。
TotalEnergiesは、新たな目標について、航空業界の顧客からSAFの生産量を増やすよう求められていることを受け、生産能力を拡大するために「大規模な投資」を行うとしている。
今回の発表は、SAFの需要が今後数年間で急速に増加することが予想される中で行われた。
航空業界の排出量の大部分を占めるのが燃料である。一般に、SAFは廃油や農業残渣などの持続可能な資源から製造され、航空産業の脱炭素化を支援する重要なツールのひとつと考えられている。SAFの生産者は、従来の燃料と比較してライフサイクルGHG排出量を85%削減できると推定している。しかし、航空会社によるSAFの使用を大幅に増やす努力は、現在市場に出回っている供給量の少なさや、従来の化石燃料をはるかに上回る価格など、大きな課題に直面している。
昨年発表された、2040年までに航空機の運航をゼロにする英国の「Jet Zero」戦略では、SAFの供給と需要の加速を重要な優先分野と位置づけている。
さらに最近では、EUの空港におけるSAFの使用量を2025年に2%から開始し、2050年には70%に達するよう経年的に増加させることを義務付ける新ルールが、欧州議会と理事会の議員によって今年合意されている。
TotalEnergiesによると、同社の生産目標は、2028年までにEUの混合義務化の要件を満たすことができ、2030年の目標は、その時点で世界のSAF市場の10%を占めることになる。
同社は、SAFプロジェクトについて、グランピュイ製油所を、2025年時点で年間21万トン、2027年までに年間28万5000トンのSAFを生産できるゼロオイルプラットフォームに転換するための4億ユーロ(約619億円)の投資、ゴンフルビル製油所の食用油から作るSAFの年間生産量を、2025年から4万トンに増やす計画など、いくつかの概要を説明した。また、ラ・メード製油所をバイオリファイナリー化するために3億4千万ユーロ(約526億円)を投資し、すでに同製油所のバイオディーゼルを使用してSAFを生産しており、バイオリファイナリーで使用済み食用油や動物性脂肪を処理してバイオ燃料やコプロセシングによりSAFを生産するプロセスを持つための投資を検討している。
【参照ページ】
(原文)TotalEnergies Steps up Sustainable Aviation Fuel Production at Grandpuits
(日本語訳)TotalEnergies、グランプラスで持続可能な航空燃料の生産を開始