5月5日、仏化学大手Arkemaは、2030年までの脱炭素化目標の引き上げを発表した。現在、同グループは、2030年までに2019年比でスコープ1と2で48.5%、スコープ3で54%の温室効果ガス排出量削減を目標としている。新目標は、独立した世界的な組織であるScience Based Targets initiative (SBTi)によって承認されている。
2022年7月、Arkemaは、今世紀末までに地球温暖化を産業革命以前の水準から1.5℃に抑えることを目指すパリ協定の期待に沿い、温室効果ガス削減目標を設定した。その後、さらなる改善の余地があると判断し、今回目標を引き上げた。
スコープ1と2の温室効果ガス排出量については、2019年に370万トン(CO2換算)から2030年に190万トンまで削減する計画を立てており、スコープ3の温室効果ガス排出量については、2019年に1億5200万トン(CO2換算)の排出量を2030年に7000万トンまで削減することで、バリューチェーン全体で対策を講じることを約束している。
新しいコミットメントを果たすため、同グループは特に生産者との長期契約を通じて、事業所で消費される低炭素の蒸気や電気の割合を大幅に増やすことを計画している。Arkemaは最近、ENGIEとフランスで年間300GWhのバイオメタンを供給する大型契約を締結した。また、エネルギー効率の改善と設備の最適化も進めている。
さらに、この取り組み全体は、脱炭素化に関連した資本支出枠によって支えられており、2030年までに4億ユーロ(約600億円)に達する可能性がある。
スコープ3の削減では、再生可能な原料やリサイクル原料の割合を増やし、カーボンフットプリントの低い原料への転換を進める。また、Virtucycleプログラムや子会社のAgiplastなどを通じて、ポリマーのリサイクルルートを開発することも目標としている。
【参照ページ】
(原文)Arkema raises its decarbonization targets and obtains SBTi validation for its 1.5°c trajectory by 2030
(日本語参考訳)Arkema、脱炭素化目標を引き上げ、2030年までの1.5°c軌道のSBTi検証を取得