3月27日、明治は、日本国内で初めて牛乳生産に関わる「カーボンフットプリント(CFP)」算定を検討し、酪農家の実データに基づき実際の商品におけるCFPの算定に着手した。その結果、原材料の購入・輸送に関わる「上流」の工程が温室効果ガス(GHG)排出量全体の91%にのぼるという結果となった。
明治グループのGHG排出量削減目標は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、自社での排出量にあたるスコープ1、スコープ2では2030年に50%の削減、2050年までに実質ゼロを目指している。原材料の生産・調達や輸送、製品の輸送や廃棄など自社以外の間接排出にあたるスコープ3では、2030年までに30%の削減、2050年までに実質ゼロを目指す。
本取り組みのポイントは以下の3点。
・国際団体のガイドラインを参考とした算定方式
・酪農家の実データに基づき算定
・国内乳業メーカーでは例をみない日本初の取り組み
今回の算定を実施するにあたり、明治は独自の基準を設けるのではなく、国際基準を基にしたプログラムである「EPD」、および国際酪農連盟(IDF)が定めた世界基準を参照し実施した。
「明治オーガニック牛乳」のCFP算定を実施した結果、原材料の購入・輸送に関わる「上流」の工程がGHG全体の91%にのぼるという結果となった。この結果は、世界的に示されている牛乳におけるGHG排出量に近しい結果だった。
今回の算定を受け、明治は酪農の大きな課題である呼気メタンの削減に向けた取り組み、土壌に着目したカーボンファーミングなど、さまざまな角度から酪農家と一体となり、削減への努力を続ける考えを示した。
さらに同社は、味の素とともに、酪農・乳業においてGHG排出量削減と経済価値創出を同時に実現する「J-クレジット制度を活用したビジネスモデル」の構築に向けた協業を発表した。
本協業では、酪農家の経営支援に取り組んできた明治が、支援の基盤を生かして、味の素と協業し、乳牛用アミノ酸製剤「AjiPro-L」を用い、飼料中のアミノ酸バランスを改善することで、ビジネスモデルの構築を実現した。
このアミノ酸バランス改善飼料を給餌することにより、GHGの一つでありCO2の約300倍という温室効果のある牛の糞尿から発生する一酸化二窒素(N2O)排出量を削減できる。J-クレジット制度で規定されているGHG排出量削減における農業分野の5つの方法論のうち、「アミノ酸バランス改善飼料の給餌」という方法論を用い酪農分野として初めてプロジェクトの登録がされた。
【参照ページ】
【サステナブルな酪農の実現に貢献する取り組み①】温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けて削減効果の高いポイントを把握するため国内初の牛乳生産に関わるカーボンフットプリント(CFP)算定に着手~牛乳の原材料の購入・輸送に関わる工程がGHG排出量の91%を占めるという結果に~
【サステナブルな酪農の実現に貢献する取り組み②】酪農・乳業における温室効果ガス排出削減の取り組みを2023年3月よりスタート 明治グループと味の素株式会社が持続可能な酪農業の実現に向けた協業を開始~酪農における温室効果ガス排出削減分をクレジット化し、酪農家の収入源に~