1月12日、世界経済フォーラム(WEF)は「Markets of Tomorrow Report 2023」を発表した。本報告書では、官民の協力関係を改善することで、社会的・環境的目標に向けた前進と同時に、新たな市場を構築するための投資をいかに促進できるかが示されている。
世界の経営者12,000人を対象にした本調査によると、120カ国以上の経済圏で今後10年間に最も戦略的に重要だと考えられているのは、農業技術、教育技術、エネルギー関連技術であることが判明した。本報告書は、政府と企業のリーダーに対して、明日の市場と雇用を創出するためのテクノロジーの配備を倍増させることを求めている。
その結果、農業技術が今後10年間の経済にとって最も戦略的に重要な技術であると考えられていることがわかった。ローテクの灌漑方法から精密農業や農業用ドローンまで、新たな農業技術は効率性を高め、農業生産高を増加させ、新たなグリーン雇用を創出する。
教育・人材育成は第2位で、メタバース学習、人工知能、ユビキタスコンピューティングなど、新たなデジタルツールやプラットフォームがイノベーションを牽引している。この分野では、COVID-19の大流行で世界的に教育が歴史的に失われた後、教育技術の展開が加速している。
最後に、電力貯蔵・発電技術は、低炭素エネルギーシステムへの移行がますます緊急性を増していることを反映し、世界ランキングで3位を獲得した。バッテリーなどの蓄電技術は、再生可能エネルギー発電を世界各地のエネルギーグリッドに大規模に統合するための鍵を握っており、現在の技術革新と投資の重要な分野である。
上記の結果は、低所得国と高所得国の間で概ね一致しており、上位5つの優先技術のうち4つはすべての所得層で共有されている。しかし、気候変動緩和技術については、高所得国では最も重要な技術となっているが、他のすべての所得層では8位と、顕著な違いが見られる。
本調査と並行してWEFがアクセンチュアと共同で行った新しい分析では、2030年までに10カ国だけでもグリーン・セクターとソーシャル・セクターで7,600万人の追加雇用が必要であることが判明している。オーストラリア、ブラジル、中国、ドイツ、インド、日本、南アフリカ、スペイン、英国、米国の10カ国で、2030年までにグリーン・セクターとソーシャル・セクターでさらに7,600万人の雇用が必要であるとしている。
本レポートによると、社会的包摂と社会的流動性の目標を達成するためには、各国は社会的雇用の数を37%増の6,400万人に増やす必要があるとされている。また、グリーンな移行という目標を達成するためには、グリーンなスキルを持った労働力が不可欠となる。しかし、グリーンな仕事は、現在、調査対象の労働力のわずか1%を占めるに過ぎない。環境目標を達成するためには、さらに1,200万人のグリーン雇用が必要であり、これは現在の数字から66%増に相当する。
【参照ページ】
(原文)Markets of Tomorrow Report 2023: Turning Technologies into New Sources of Global Growth