1月18日、世界経済フォーラムのオープンイノベーション・プラットフォームであるUpLinkは、グローバルコングロマリットであるHCLグループと提携し、水に焦点を当てた起業家10名を発表した。
水へのアクセスは、食糧生産、教育、雇用創出、健康と福祉、自然界の保全において重要な役割を担っており、国連が掲げるSDGsの達成に欠かせない。しかし、世界の水需要は2030年までに持続可能な供給を40%上回り、世界経済と社会に大きな影響を及ぼすと言われている。
10社のスタートアップ企業は、HCLとUpLinkの「Aquapreneur Innovation Initiative」の下、5つのチャレンジの内のひとつ、「Global Freshwater Innovation Challenge」の勝者である。2022年9月に開始されたこのチャレンジでは、データに基づく意思決定を強化し、気候変動に直面した淡水の回復力を高め、世界中の水質を回復させるような革新的なソリューションを求めていた。
HCLグループは、5年間で1500万ドルの投資を通じて、UpLinkとフォーラムの「Global Water Initiative」を支援し、一連のイノベーション・チャレンジを立ち上げ、UpLinkで世界の淡水セクターのためのイノベーション・エコシステムを構築している。
チャレンジに提出された227のソリューションの中から、水に焦点を当てた10人の起業家(Aquapreneur)が選ばれ、今後それぞれHCLグループから17万5000スイスフラン(約2,500万円)の重要な資金を受け取ることになる。
HCLから賞金を授与され、アップリンクから支援を受ける他の起業家は以下の通りである。
- bNovate Technologies(スイス)- 水道水の細菌濃度を監視・検出する自動遠隔バイオセンサー
- Indra Water(インド) – 一次処理に化学薬品を使用しない、電気駆動型の分散型廃水処理システム
- Majik Water Technologies(ケニア) – 大気中の水分を凝縮させる技術を用いた大気圧水生成システム
- NatureDots(インド) – 養殖場の遠隔操作とリアルタイムモニタリングを可能にし、漁業と水管理者を生態系ストレス要因から解放
- Oneka Technologies(カナダ) – 波力発電による海水淡水化ソリューション
- Openversum(スイス) – 水中の重金属除去する、現地で組み立て・管理する膜フィルター
- RainGrid (カナダ) – コミュニティ規模で、不動産ベースのデジタルネットワークを構築し、検証可能な生態系クレジットを生成しながら、住宅地での降雨流出をネットゼロに
- Wateroam Pte(シンガポール) – 電気を使わずに安全・迅速・高品質の飲料水を製造
- Epic Cleantec(アメリカ) – 都市部の建築環境における水の再利用革命をリード
- Kilimo(アルゼンチン) – ビックデータと機械学習を用いて、農業における水利用の検証・改善・相殺
【参照ページ】
(原文)Markets of Tomorrow Report 2023: Turning Technologies into New Sources of Global Growth