12月7日、デロイトが発表した新しい調査によると、米国のほぼ全ての大企業は、ステークホルダーの要求の高まりと規制要件の接近に対応するため、ESGデータと報告技術に積極的に投資し、社内でESGに焦点を当てた新しい役職を割り当て、サステナビリティ報告の取り組みを急速に強化していることが明らかになった。
デロイトは、消費財、金融サービス、ライフサイエンス、ヘルスケア、石油・ガス、テクノロジー、メディア、通信などのセクターにおいて、売上高5億ドル(約680億円)以上の上場企業の財務・会計・サステナビリティ・法務部門の幹部300人にオンライン調査を依頼し、インタビューも実施した。
本報告書は、今年初めにデロイトが実施した同様の調査と比較して、サステナビリティ戦略の実施やESG報告の取り組みの強化に関する最近の機運の顕著な高まりを示している。特に、米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に対する気候変動開示の提案を発表したのは、先の調査の発表直後だった。
【関連記事】Deloitte、2022年版CxOサステナレポートを発表。気候変動への有意義な取り組みを進めている企業は少数
ESGへの注目の高まりは、人的資本だけでなく、能力への投資も含んでいる。今回の調査では、半数以上(57%)の企業が、ESGへの戦略的配慮を推進するための部門横断的なワーキンググループを既に導入しており、その他のほぼすべての企業(42%)もこれに続く予定であることがわかった。
同様に、ESGデータと報告のニーズに対応するために、事実上すべての回答者(99%)が、今後12ヶ月で、より開示に焦点を当てたテクノロジーやツールに投資する可能性が多少ある、または非常にあると答え、80%以上が、開示要件の増加に備え、自社に新しい役割や責任があると報告している。
また、前回の調査よりもESG開示について外部保証を求める計画が大幅に増加しており、96%が次の報告サイクルで保証を求める予定である。
本調査では、経営者がESG報告の強化から、単に規制上の要件を満たす以上の利益を期待していることが示された。回答者の半数以上が、従業員の定着率の向上(52%)、ROIの改善(52%)などの具体的な利益と、ステークホルダーの信頼強化(51%)などの無形の利益を期待している。その他の主な利点としては、ブランド評判の向上(49%)やリスク軽減(48%)などが挙げられた。
本報告書では、サステナビリティ情報開示の強化に向けた準備と計画の充実が見られる一方で、当分野で経営者が直面しているESGデータの課題についても調査している。回答者の35%がデータの品質を最大の懸念事項として挙げ、次いで25%がESGデータへのアクセスについて言及している。
スコープ3の排出量は最大の懸念事項である。 スコープ1では61%、スコープ2では76%が開示する準備があるのに対し、スコープ3は37%にとどまっている。この結果は、スコープ1は56%、スコープ2は47%、スコープ3は31%であった前回の調査よりはいくらか改善された。スコープ3の課題としては、外部ベンダーからのデータの品質が51%、データの可用性の欠如が41%という結果になっている。
【参照ページ】
(原文)Sustainability action report
(日本語訳)サステナビリティ活動報告