11月16日、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は欧州サステナビリティ・レポーティング・スタンダード(ESRS)の最終版を承認した。本基準は、EUの次期持続可能性報告指令(CSRD)に基づいて企業が持続可能性に関連する影響、機会およびリスクを報告するための規則と要件を定めたものである。
今回の承認は、先週欧州議会でCSRDが採択され、今月末にはEU理事会で採択される見込みであることに続き、欧州における新たな持続可能性報告制度の確立に向けた動きとして、新たな大きな一歩となるものである。本規則の対象となる企業は、戦略やビジネスモデル、ガバナンス、組織、持続可能性への影響、機会、リスクに関する重要性評価、さらに方針、目標、行動計画、業績に関する持続可能性報告を行うことが求められることになる。
CSRDは、2024年初頭から大企業からの適用を開始する方向で、現在のEUの持続可能性報告の枠組みである2014年の非財務報告指令(NFRD)の大幅な更新を目指したものである。新規則では、持続可能性の開示を求められる企業数を現在の約12,000社から50,000社以上に大幅に拡大し、企業が環境に与える影響、人権や社会的基準、持続可能性関連リスクについてより詳細な報告要件を導入する。
EUが過半数を出資する民間団体であるEFRAGは、2020年6月に欧州委員会から、NFRDの改訂の一環として、EUの新しい持続可能性報告基準の準備を委任された。2021年5月、EFRAGはCSRDの報告基準を作成するよう要請された。
2022年5月、EFRAGは基準の初期ドラフトを発表し、フィードバックを受けるための100日間の協議期間の開始を発表した。承認されたESRSの主な変更点の1つは、重要性の評価について寄せられたフィードバックを反映し、ほとんどの回答者が重要性の判断を弱め、不必要なコストをもたらすと見ていた「反証可能な推定」を削除したことである。EFRAGのウェブサイトに掲載された回答の分析によると、回答者はESRSの代わりに、重要性の判断の実行方法に関する適用ガイダンスをより多く含めることを要求している。
CSRDは、従業員500人以上の大規模な公益企業を対象に2024年初頭から適用を開始し、2025年には従業員250人以上または売上高4000万ユーロ(約57.8億円)以上の企業、2026年には上場中小企業が適用される予定になっている。
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(参考記事)EFRAG approved the European Sustainability Reporting Standards