5月24日、北海道電力と三菱商事の合弁会社である道南水力発電は、三井住友信託銀行株式会社および株式会社北洋銀行と融資契約を締結し、プロジェクトファイナンス(以下「PF」)※による融資を受けたことを公表した。
水力発電は、ダムや導水路、発変電機器などの設備を広範囲に亘って設置することから、設置に必要な権利や事業に必要な関係許可等が多岐にわたるため、金融機関による事業性判断が難しく、PFによる融資を受ける事例は僅少である。
北海道電力と三菱商事は、それぞれが有する水力発電事業とPFに関する知見を活かして金融機関と協議を重ねた。その結果、本事業の事業計画が高く評価され、PFによる融資が実現した。
今後、道南水力発電は、導水路等を北海道電力からリースを受け、既存設備の有効活用を図った上で、順次老朽化した設備のみリプレース工事を行い、その後の発電事業を行っていく。
本事業において、北海道電力は、これまでと同様に地域とのコミュニケーションを図りながら、培ってきた豊富な水力発電所の保守・工事・運営に関する知見を活用して水力発電所のリプレース工事対応、工事後のメンテナンスを行っていく。
また、三菱商事は、国内外で有する豊富なPFによる発電事業のノウハウを活用して道南水力発電の効率的な経営・事業運営、各種契約管理、PFの資金調達管理などを行う。
両社は、純国産かつ地域の貴重な水資源を活用した再生可能エネルギーである水力発電を長期にわたって最大限活用し、カーボンニュートラルの実現に貢献すると述べた。
※特定事業に対して融資を行い、そこから生み出されるキャッシュフローを返済の原資とし、債権保全のための担保も対象事業の資産に限定する手法。通常の融資とは異なり、親会社は特定事業への出資以上のリスクを負わない反面、貸主である金融機関は追加のリスクを負う事になるため、一般的に事業計画の調査が厳しく行われる。