WBA、日本企業の人権に関するパフォーマンスを分析

5月17日、ビジネスにおけるSDGs推進国際NGOのWorld Benchmarking Alliance(WBA)、英人権NGOのKnowTheChain、国際人権NGOのビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)は、日本企業の人権デューデリジェンス(HRDD)を評価・分析したレポートを発行した。

G7諸国の多くは、企業のサプライチェーンにおける人権リスクや影響を特定・防止するために、報告義務やHRDDの要件を公表している。日本政府も最近、HRDDのガイドライン作成を発表した。これにより、日本はアジアで初めてHRDDに関する法律を制定する軌道に乗る。WBAとBHRRCは、本レポートを通じて、現在議論されているガイドラインへ提言を行う。

WBAが2021年に実施した「社会トランスフォーメーション指数(CSI)」の評価結果を基にした分析では、調査対象となった日本企業67社の大半(79%)が人権へのコミットメントを開示し、さらに40%が国際労働機関(ILO)の労働権の尊重へもコミットしている。

しかし、人権デューディリジェンス(HRDD)においては、企業の約3分の2(64%)が3つのHRDD指標でゼロを記録している。また、ステークホルダー・エンゲージメントについても85%がゼロを記録した。

一方で、HRDD指標で満点を記録した企業も9社ある。具体的には、アサヒグループ、ファーストリテイリング、不二製油グループ、インペックス、KDDI、キリンホールディングス、三井物産、NEC、楽天の9社である。

本レポートでは、一部の企業が HRDD においてリーダーシップを発揮している一方で、他の大多数の企業は大きく遅れを取っており、一般的な HRDD のプロセス、特にステークホルダーの関与には顕著なギャップがあることが明らかになった。

【参照ページ】
人権デューディリジェンスに関する日本企業評価から得られたエビデンス

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  2. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…
  3. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…

ピックアップ記事

  1. サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025-8-22

    サステナビリティ開示におけるタクソノミ導入と実務対応のポイント

    2025年8月8日、金融庁は、「2027年版EDINETタクソノミの開発案」を公表した。これは、I…
  2. 2025-8-19

    PR【対談&ワークショップ】第一生命が語る「ESG開示」と「企業価値向上」

    毎回満員御礼でご好評をいただいているESG Journal 会員向けのESG Journal …
  3. 2025-8-18

    金融庁、EDINET新タクソノミ案公表 27年版ではサステナ情報開示も検討

    8月8日、金融庁は企業の有価証券報告書などで利用される電子開示システム「EDINET」の基盤となる…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る