5月1日、欧州委員会と大手産業界の企業グループは、2025年までに電解槽の製造能力を拡大することを含め、欧州における水素製造能力を急速に拡大する計画を発表した。
欧州委員会のティエリー・ブルトン域内市場担当委員と産業界のCEOが署名した共同宣言によると、本構想は、ロシアのウクライナ侵攻により、ロシアの化石燃料への依存度を減らすためのグリーンエネルギーへの転換の必要性が強まっていることを受けて実現されたものである。
欧州委員会は、再生可能エネルギーによる水素の国内生産を1000万トンまで拡大し、さらに1000万トンの水素を輸入することを想定した「水素アクセラレーター(Hydrogen Accelerator)」を提唱している。欧州委員会によると、このレベルの生産量を達成するには、電気分解機の能力を現在の175万kWから少なくとも90万kW/年に大規模に増強する必要があり、メーカーは2025年までに1750万kW、2030年までにさらに増強する目標を掲げている。
同宣言は、電気分解機の生産能力を拡大するために業界が直面している一連のボトルネックと、これらの障害に対処するための欧州委員会の約束および取り組みについて概説している。ボトルネックには、再生可能および低炭素の水素の大規模な展開を支援するための不完全な規制枠組み、需要の確実性がない中での大規模投資の必要性、サプライチェーン、原材料や部品の入手性に関する課題などがある。
これらの問題に対処するため、宣言では、規制が再生可能水素市場の迅速かつ安価な立ち上げを確実に支援すること、再生可能水素を含む再生可能エネルギープロジェクトの許認可を加速するための法律案の採択、優先事項として水素プロジェクトに対する国家補助通知の査定、他国との原料パートナーシップの構築、原料依存問題での利害関係者との協力など、欧州委員会の一連の行動を取り上げている。
また、各メーカーは、EUの気候目標に沿った質の高いプロジェクト提案のみを申請することを約束した。この行動には、欧州クリーン水素アライアンスの既存の組織の中で、電解機メーカーと部品・材料メーカーを結びつける「電解機パートナーシップ」の設立も含まれている。
【参照ページ】
(原文)Hydrogen: Commission supports industry commitment to boost by tenfold electrolyser manufacturing capacities in the EU
(日本語訳)EU、2025年までに水素製造能力を10倍に拡大することを計画