投資大手のBlackRockは、2022年に向けたエンゲージメントの優先順位を発表した。
BlackRock Investment Stewardship’s(BIS)のエンゲージメント優先項目は、「取締役会の質と効率性」「戦略・目的・財務の健全性」「価値創造に沿ったインセンティブ」「気候および自然資本」「企業が人々に与える影響」だ。
エンゲージメントの主要な優先項目は昨年と同じだが、BlackRockは、グローバルなエネルギー転換が労働力に与える影響や、インセンティブ報酬におけるESG要素の使用など、企業が考慮すべきサステナビリティ関連の要素を追加している。
BlackRockは昨年、「企業が人々に与える影響」カテゴリーを導入し、企業が人権などの分野に与える影響についてより広範なアプローチをとり、企業にとって重要な人権上の悪影響を特定・管理・防止するプロセスを実施・開示するよう求めている。今年の報告書では、BISは企業に対して「人的資本管理に対する確固たるアプローチを示し、そのアプローチが企業の掲げる戦略およびビジネスモデルとどのように整合するかを理解するために必要な情報を株主に提供する」ことを期待する一環として、企業が世界規模のエネルギー移行に関連して労働者の利益をどのように考慮し対処しているかの議論も奨励すると述べている。
BlackRockが指摘するその他の主な人権リスクには、プライバシーに関する法律・基準・期待の管理不備に加え、劣悪な労働条件・基準以下の賃金・強制労働や児童労働の使用・係争地の使用や先住民の権利侵害などの地域社会への被害や移住・敵意や差別のある職場が含まれる。
報酬面では、BlackRockはインセンティブ報酬の計算にESG基準を含めることを明確に推進していないものの、BISは「報酬政策において主要なステークホルダーの利益を考慮することは、長期的な価値創造の集団的性質を認識することになると考える」としており、インセンティブプランにサステナビリティ関連の基準を含めるかどうかは取締役会が決定すべきであると述べている。BlackRockは、「エンゲージメントの優先事項」報告書の補足資料の中で、このような基準の導入に対する期待についてより詳しく説明しており、企業に対して、重要性・戦略的整合性・適切な測定方法を考慮するよう指導している。
BISは、「気候変動に関する優先事項」の中で企業に対して、地球温暖化を2℃以下に抑え、2050年にネット・ゼロに移行するシナリオと自社のビジネスモデルの整合性について報告し、スコープ1および2の排出量の開示を通じて投資家が自社のアプローチを理解するよう再度奨励している。
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BlackRock Investment Stewardship