イギリス政府、新規原子力発電所のコストを削減する新しいファイナンスモデルを発表

10月26日、イギリス政府Kwasi Kwarteng商務長官は、新規原子力発電プロジェクトに幅広い民間投資を呼び込み、資金調達コストを削減し、消費者の負担を軽減するための新たな資金調達モデルを発表した。

原子力エネルギー(資金調達)法案では、規制資産ベース(RAB)と呼ばれるモデルを使用して、英国内の将来の原子力発電所の資金調達を行う。

RABモデルは、英国の年金基金、保険会社、その他の機関投資家を含む個人投資家のプールを大幅に増やすことにより、英国の新規原子力プロジェクトの資金調達を海外のデベロッパーに依存することを減らす。消費者は新規原子力発電プロジェクトの建設段階で費用を負担することになるが、既存の資金調達メカニズムと比較して、消費者は新規の大型原子力発電所1基あたり、プロジェクトの全期間にわたって300億ポンド以上を節約できると予想される。

現在、英国の発電量の約16%は原子力発電によるものだが、RABモデルは、低炭素化が進む電力網で再生可能エネルギーと一緒に働く大規模な原子力発電所の新設を支援する民間投資家を引き付ける上で重要な役割を果たす。また、RABは、英国で設計・製造された小型モジュール式原子炉などの新しい原子力技術にも使用することができる。

米国会計検査院は、消費者のコストを削減しながら原子力への投資を誘致するための新しい資金調達モデルを評価するよう政府に勧告した。政府は2019年夏、原子力の規制資産ベース(RAB)モデルの利用について協議し、RABが大規模な原子力プロジェクトの信頼できるモデルであることを立証した。

最終的には、原子力発電を持つことで、英国が断続的な電源だけに頼る場合よりも、消費者にとって低コストな電力システムを実現することができる

また、政府のエネルギー白書では、関連するすべての承認を得た上で、今議会中に少なくとも1つの新規大型原子力プロジェクトを最終投資決定に持ち込むことを約束した。2020年12月、閣僚たちはサイズウェルCに関する正式な交渉開始を発表し、現在も交渉が続いている。

【参照ページ】
(原文)New finance model to cut cost of new nuclear power stations
(日本語訳)新規原子力発電所のコストを削減する新しいファイナンスモデル

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-28

    ネイチャーポジティブ経営の重要性が増大・企業に求められる対応とは?(再掲)

    ※2024年3月5日公開済みの記事に「移行計画」「ネイチャーポジティブ宣言」に関する情報を一部更新…
  2. TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?

    2025-8-20

    TCFD×TNFD統合開示ガイド:いま企業が備えるべき実務対応とは?(再掲)

    ※2025年5月28日公開済みの記事を一部更新し再掲している。 企業のサステナビリティ関連の…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. 2025-9-3

    ESG資産の成長継続へ、AIとエネルギー転換が次の焦点―にBBG調査

    8月25日、ブルームバーグ・インテリジェンスは2025年春に実施したESG投資家調査を発表した。約…
  2. 国内外のサステナビリティ開示動向(2024年度)ーGPIFサステナビリティ投資報告書が示す課題とは-

    2025-9-3

    国内外のサステナビリティ開示動向(2024年度)ーGPIFサステナビリティ投資報告書が示す課題とは-

    8月29日、GPIFが2024年度サステナビリティ投資報告書を公表した。本報告書では、気候関連開示…
  3. 2025-9-1

    マレーシアで1.5GWの太陽光×蓄電プロジェクト始動、データセンター向け再エネ供給を強化

    8月25日、マレーシアの国営エネルギー会社ペトロナス系の再生可能エネルギー企業ジェンタリとインフラ…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る