5.5兆ドルの資産を有するカナダの投資家連合は、投資先企業に対し、目標設定、情報開示、ロビー活動など、世界的な気候変動の目標達成に向けた幅広い期待事項を示した。
これはResponsible Investment Association(RIA)が取りまとめた声明で、カナダの大手銀行
5行の資産運用部門を含むカナダの主要な投資家が署名している。またこの声明には、署名した投資家の気候変動に関するコミットメントも含まれている。
気候変動に関するカナダの投資家の声明では、投資家が経済や資産価値に対する気候変動リスクを認識していることを以下の通り表明している。
「私たちは、資本の管理者として、気候関連の財務リスクと機会を含め、投資のリスク調整後のリターンに影響を与える可能性のあるすべての重要な要因を考慮する受託者責任を負っています。金融資産の価値は、気候変動の物理的な影響(物理的リスクと呼ばれる)や、ネット・ゼロ・エコノミーへの調整(移行リスクと呼ばれる)によって影響を受ける可能性があります。」
また投資家連合は、ネット・ゼロへの移行に伴う大きな経済的変化から弱い立場にある人々を保護する「公正な移行」を促進するため、特に先住民に焦点を当てた支援を表明し、行動を約束した。
投資先企業への期待としては、科学的根拠に基づく2050年ネット・ゼロに向けた短期・長期の排出削減目標の設定、気候関連のリスク・機会・戦略に関する取締役会や経営陣の監視体制の構築、TCFD勧告に基づく排出データや気候変動対策の計画の開示、気候変動対策や公正な移行の目標に沿ったロビー活動などが挙げられている。
投資家自身のコミットメントには、気候変動リスクを投資プロセスに統合すること、気候変動対策計画を策定すること、スチュワードシップやエンゲージメント活動をグローバルな気候変動ネット・ゼロ目標に合わせることなどが含まれている。また投資家は、自らの気候関連の政策提言が公正な移行と2050年のネット・ゼロの目標をサポートすることを確認し、融資された排出量の報告を含め、TCFDに沿った情報開示を行う。
【参照ページ】
(原文)Canadian Investor Statement on Climate Change
(日本語訳)カナダの投資家連合、ポートフォリオ企業に期待する気候変動への対応を発表
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