オランダ環境NGO、シェルに対し新たな気候訴訟を提起 700件の油・ガス開発計画を問題視

5月13日、オランダの環境NGOであるMilieudefensieは、エネルギー大手会社のシェルに対し、新たな油田およびガス田開発計画を巡る気候訴訟を起こすと発表した。今回の訴訟は、規模としては前例のないものであり、国際NGOのグローバル・ウィットネスとの共同調査に基づき提起され。
同調査では、シェルが現在700件に及ぶ新規の油・ガス田プロジェクトを計画中であり、これが同社の温室効果ガス排出量の増加を招いていることが判明した。独立系エネルギー調査会社Rystad Energyのデータベースに基づくこの分析によれば、Shellは2021年の気候訴訟でオランダ裁判所から排出削減義務を課されたにもかかわらず、それ以降も32件の新規開発に投資してきたという。
2024年11月には、オランダ高等裁判所がShellの上訴審で、一部排出削減義務を認めたものの具体的な義務付けは退け、判断は2025年に高等裁判所で審理中である。
シェルがこのまま現在の計画を推進した場合、2030年には同社の生産部門の排出量が2022年を上回ると予測されている。Milieudefensieによれば、2025年4月以降すべての新規開発を停止すれば、2030年までに52億トンのCO₂排出を回避できる可能性がある。これはオランダの年間排出量の36倍に相当する。
今回の訴訟では、開発の即時停止に加え、シェルに対し2030年から2050年にかけた段階的な排出削減目標の策定も求めている。現在、シェルにはこのような長期目標が存在せず、再生可能エネルギー分野への投資が減少する一方で、ガス生産への注力が強まっている状況にある。Milieudefensieは、こうした方針が気候変動対策に逆行していると強く批判している。
(原文)Milieudefensie launches new Climate Case against Shell: no new oil and gas fields
(日本語参考訳)ミリューデフェンシーがシェルに対して新たな気候変動を起こす:新たな石油・ガス田の建設は禁止