Elanco社とDSM社、メタンガス削減牛用飼料で提携

4月27日、農業による温室効果ガスの排出削減を「この10年間で最も重要な社会的機会のひとつ」と位置づける動物用医薬品会社Elancoと、栄養・健康・持続可能な生活に特化した科学的根拠に基づくRoyal DSMは、DSMのメタンガス削減牛用飼料Bovaerをアメリカ市場に投入するために、新しい戦略的提携の開始を発表した。

現在、ヨーロッパ、ブラジル、チリ、オーストラリアで承認されているBovaerを、Elanco社がアメリカで開発・商業化するためのライセンス権を獲得した。家畜のメタンガス削減の世界的な市場規模は10億ドルから20億ドル(約1300~2600億円)と推定されており、Elanco社はBovaerが米国市場で年間2億ドル(約260億円)を超える超大型の収益を上げると期待している。

農業は、世界の温室効果ガス(GHG)排出量の大きな割合を占めており、気候変動への影響に対処するのが最も困難な分野の一つであることから、気候変動対策の主要な焦点として浮上している。国連食糧農業機関によると、世界の畜産からの総排出量は、人為的なGHG排出量の14.5%を占めている。

本戦略的提携により、Elanco社は、アメリカでの承認プロセス、商業化、製品供給を担当し、アメリカ外の市場におけるDSMの供給をサポートする。Elanco社は、Bovaerをできるだけ早くアメリカ市場に投入するために、規制当局への申請や製造の選択肢を検討し、インディアナ州はすでに、同州での製造投資拡大に対する支援を表明した。

本発表は、Elanco社が今年初めに発表した、畜産事業の二酸化炭素排出量を評価する分析エンジンや、畜産業界が炭素クレジットを取得・請求するための新会社 Athian など、アメリカの畜産業の持続可能性への取り組みを促進するための新しいツールに続いて行われたものである。

【参照ページ】
(原文)Elanco and Royal DSM Announce Strategic Alliance in U.S. for Bovaer® – A Revolutionary, Methane-Reducing Feed Additive for Cattle
(日本語訳)ElancoとRoyalDSMは、米国でのBovaer®の戦略的提携を発表–牛用の革新的なメタン削減飼料添加物

関連記事

“イベントへのリンク"

おすすめ記事

  1. 2024-4-9

    SBTN(Science-Based Targets for Nature)とは。企業のネイチャーポジティブ経営を実現する目標設定の方法論を解説。

    TNFDのフレームワークが公開され、先進企業ではフレームワークに基づく情報開示が進みつつある(20…
  2. 2024-4-2

    【さくっと読める】TNFDの開示とは。重要ポイントを抽出。

    2023年9月、TNFDのフレームワークが完成し公開された。2023年時点でTNFDに基づく開示を…
  3. 2024-3-26

    【さくっと読める】ESGスコアとは。基本的知識を解説。

    今月から、サスティナビリティ情報開示で関心の高いテーマについて、さくっと読める解説コラムを発行して…

ピックアップ記事

  1. 2024-4-12

    BCG支援のVC、Bキャピタル、気候変動プラットフォームのリードへ向け新たな幹部を発表

    4月8日、マルチステージのベンチャー投資会社であるBキャピタルは、気候変動投資プラットフォームの拡…
  2. 日本、IFRSベースのサステナビリティ報告基準案を公表

    2024-4-11

    SSBJ(サステナビリティ基準委員会)、IFRSベースのサステナビリティ報告基準案を公表

    4月3日、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、IFRS財団の国際サステナビリティ基準委員会(…
  3. 2024-4-11

    ブラックロック、ESG政策を理由に1.3兆円の資産売却を決定したテキサス州を「無謀」とし、再考を促す

    3月21日、ブラックロックは、テキサス州教育委員会がエネルギー企業への「ボイコット」とESG投資慣…

アーカイブ

ページ上部へ戻る